ni×胸元 ページ40
今日は久しぶりに兄さんが長期出張から帰ってくる日。私は朝から気分が良くて、掃除をしながら兄さんの帰りを今か今かと待っていた。
『なにせ何年も電話越しでしか話せてないからな〜…早く会いたい。』
仕事の都合とはいえ長らく会えないと寂しいというものだ。だからメールで帰れると聞いた時は思わず舞い上がった。そわそわしていると、不意に玄関からチャイムの音が鳴り響いた。私はすぐさま玄関先を確認すると、扉を開けて飛び込んだ。
『おかえり！兄さん！』
「おっ…と…なんや、随分熱い歓迎やな。」
『だって久しぶりじゃない。』
「…まぁ確かにな。ただいま。」
そう言って私を抱き締め返してくれた。あぁ…兄さんだ。兄さんがちゃんとここにいる。嬉しくて思わずしばらく抱きしめていたらそろそろ離れろと言われたので一旦離れる。
「…とはいえまた数日で行かなあかんけどな。」
『それも聞いた！だから今のうちに沢山私と一緒にいようよ。あ、まずはご飯食べに行こう！』
「はいはい。」
兄さんを引っ張り外に美味しいご飯を食べに行き、この会えなかった間の話をいっぱいした。もちろん時はあっという間にすぎ、家に帰ってくる。そこで電話がかかってきて、相手は最近職場で仲良くしてる後輩からだった。
「…誰？」
『職場の後輩くん！明日の仕事について少し聞かれたの。最近仲良いんだ。』
「男？」
『うん。』
「ふーん…」
すると兄さんに手招きされて膝の上に座らされると、ちう、と胸元に吸いつかれた。そこには綺麗な赤い跡がつく。
『えっ』
「…妬けるなぁ、他の男の話されると。やっぱり長らく会ってないと心移りしちゃう？」
すぅ…と目を細め腰に手を添えるとぐっと引き寄せ胸に顔を埋める。後輩くんの話を聞いて心移りするのではと不安になってこんなことをしたのだろう。
『…まさか。私には兄さんだけだし、どんなに離れてても心移りなんかしないよ？』
と、額にキスをしかえした。すると兄さんはそのままソファに私を押し倒す。
「…なら、今夜は付き合ってくれるよな？久しぶりにお前を直で感じたい。」
妖艶に微笑む兄さんの顔は静かに獲物を狙う狼のようで、私は不意にきゅぅんとしてしまう。
『…うん。いいよ。もっともっと私を…愛して？』
「その言葉、忘れるんやないぞ。」
『もちろん。』
あなたが私の胸元に赤い花を咲かせた時から、覚悟は決めていたから。私はいつまでもあなたのものだから、安心してね。
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