【wrwrd!】Je vous embrasse (ページ3)

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▽ ページ3

｢私の髪に、なんかついてた？｣

｢あ、いや、そうじゃないんやけど……｣

｢？｣

｢なんか……｣

　手の届かない存在やなと思った

なんて言えるはずも無く
吃ってしまう

｢ふ、ふふ、あはは……！ゾムってほんと面白い、やめてよ、おかしい｣

｢な！何笑てんねん…！！｣

｢ゾムってば素直に Aの髪が触りたかった～とかでもいいのに、何そんなに考えてんの？だからお子ちゃまなのよ｣

くすくすと子供っぽい笑みを浮かべるA
猫のようなにんまりとした顔が好きで好きでどうしようもなかった

お子ちゃまだなんてクソくらえ

すくった髪に口をつけた
口付けなんて初めてだし、いっそ嫌われる覚悟で口にすれば良かったか、？

口を離し、指からするりと抜けていくAの髪の毛

恐る恐るAを見てみた

｢、は、？｣

紛れもない、顔を真っ赤にしたAがいた

餌を求める金魚のように口をパクパクと開閉し、目は泳いでいる

りんごのように真っ赤な～とまではいかないが確かに顔は真っ赤だ
熱中症か？と思うほどには

…熱中症だったら倒れてるか

｢ゾ、ゾムのばか！ばかばかばか！！やめてよね！もう帰る！！！！｣

ばしゃばしゃ音をたて膝まで浸かっていた海から出て、砂場に置いてあったサンダルをとり
こちらに振り向き

｢宿題！見せてあげないんだから！！｣

少し潤んだ青色の瞳が反射できらりと光った

…ように見えた

サンダルとラムネ、食べたアイスの棒を持ち素足のまま帰っていったA
帰り際の捨て台詞

ばしゃりと大きな音をたてダイブする

｢(宿題見せへんだけか……)｣

眩しい太陽と空を見上げながら大きく笑ってしまった

｢くははははは！宿題だけでええんか！ははは！！

…………あ～～……、超可愛い｣

1人ぼっちの海でぼそりと呟いて
波の音に掻き消された

やっぱり夏は青に取り憑かれてるのかもしれない