【wrwrd!】Je vous embrasse (ページ11)

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そんな囚人かのように私生活や、自分の趣味や娯楽を縛られて、与えられた仕事を淡々と慣れた手つきでこなしていく生活の中で私はある男の子に出会った。

それは私がとても大きく、だがどこまでも、隅々まで手入れが行き渡っている庭の掃除や確認を任せられている時だった。生い茂っている緑が様々な方向に向かって芽を伸ばしている。
太陽にてらてらと照らされ、森のほうから吹く自然と流れてくる冷たくもどこか暖かい冷気に当たり強くも美しく輝きを放っている沢山の木々や、低木や草の中になにかがさっと、まさぐるかのような、何かを隠すような物音がし、なぜかそれに気づいた途端胸の高鳴りが収まらず気になって仕方なくて好奇心に従うかのように私は手を伸ばして葉や草をかき分ける。

冷気に当たりゆらゆると揺れている葉や枝達はそんな手を伸ばした私につられるかのように、手伝うかのように私の手に緩く絡んでくる。
そして水のようにサラサラ流れるかのようにかき分けたそこにはなんと私と同じぐらいの歳だと思われる男の子が小さく膝を少し曲げて咄嗟に見えた私に顔を隠すかのように、少し心拍数が上がっているのか小さくもごつっとした手をギュッと握って座っていた。
何を言わない私を見たからか彼が顔をこちらの様子を伺うかのようにあげる。そして彼と目が合う。途端私は心の奥底が昂るような、何か失っていた欠片のピースがぱちんとはまるかのような感覚に陥った。所謂一目惚れだった。

彼の名前はシャオロンという可愛く、しんなりと心に染み込むような、馴染みやすい名前だった。
彼がひと目で怪盗だと、私達と敵対していて、絶対仲良くなってはいけない怪盗だと分かっていたがどうしても、その琥珀色のガラスかのように澄んでいる素敵な瞳に引かれて、主人や、主人に使えているメイド、使用人達にバレないように膝を怪我している彼を手当して、逃がしてあげた。

そしてメイドの仕事をこなしていったり、日々が過ぎ去っていくうちにだんだんとシャオロンとひっそりと会う回数が増えていった。そしてまた好きという気持ちがだんだんと大きくなっていった。

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