【wrwrd!】Je vous embrasse (ページ1)

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zm×髪ページ1

止まらない汗と茹だるような暑さ

無風で鳴らない風鈴に真っ白な宿題

キラリと光って痛い音と共に割れたラムネの瓶

｢またやったの？ゾム｣

後ろを振り返れば
俺と同じような栗色のロングヘアーを靡かせる少女がいた

じぃ…っとこちらを睨む目は、睨んでいるのに恐怖を覚えなく
またその目に入り込んでしまうような綺麗な青色の目をしていた

言えば、そう
今割ったラムネの瓶のような、

｢この間、おじさん言ってたよね？喧嘩したらだめって。それなのにまた傷作って｣

｢だってあいつが悪いし。俺別に悪くないで｣

｢言い訳はいらない。殴ってやられてお互いボロボロになったならもうどっちも悪いよ｣

ここにくるまでに濡らしてきたであろうハンカチをぺたりと俺の頬につける
距離があったのか少しだけそのハンカチがぬるく感じる
かすり傷に水がしみてちょっとばかり痛い

白いハンカチにじわりじわりと俺の血が滲んでいく
腕や足、服についた泥も一緒に拭いていく
またAのハンカチを汚してしまった

｢ゾムってばわかりやすいよ。どうせいつもみたいに運動場にでも行って嫌いな男子に会ったんでしょ？｣

｢…｣

｢それでそのまま喧嘩していつもみたいに瓶投げしてるんでしょ？おじさんに全部怒られちゃうよ｣

｢別に、割れたところで怒られへんし｣

｢ばか。これで怪我するんだから｣

またほうきで片付けなきゃいけないんだからね
とブツブツ文句を言う彼女をじっと見つめる

少し焼けた肌にたらりと流れる汗が
ちょっと、本当にちょっと刺激的に見えてしまった

｢…何見つめてんの？えっち｣

｢えっ……！！！！別にそんなんじゃないんやけど！！｣

｢あはは！ゾムってば顔真っ赤～！面白～い！｣

笑いながら走っていくAを後ろから追いかけ、海に向かう

いつもの遊びの合図だ

少し眩しい向日葵畑を抜けて
砂場に先に着いた方が勝ち
負けたらアイスを奢るのが2人のルールだ

暑いし動きたくもないけれど
走りたくなったりするのはきっと夏のせいかもしれない