ずっとこのままで…8

決勝戦 ページ42

翌朝。
清々しい気持ちで目覚める。
時間ｷﾞﾘｷﾞﾘまで研二をはじめ、みんなと楽しく過ごし会場へ。

大丈夫。
今日は楽しむんだ。

控え室で最後の打ち合わせに入る。

茉「正直、ここまで来ると何も言う事が思いつかないわ(笑)」
「私もです…(苦笑)」
茉「泣いても笑ってもこれが最後だから。精一杯やりましょう！」
「はい！！」


係員の誘導で会場のｽﾃｰｼﾞ脇へと移動する私達。
決勝の相手、ﾊﾟﾘのﾊﾟﾃｨｼｴさん達と健闘を祈り固い握手を交わす。

司会者の紹介と共に2組同時にｽﾃｰｼﾞへ。

料理のﾃｰﾏは【家族】
制限時間は2時間。
そして今日は特別審査員として子供が10人来ている。
みんな審査員の方達のお子さんだ。
彼らは得点の代わりにｶﾗｰﾎﾞｰﾙ(日本：赤、ﾊﾟﾘ：青)を持っていて、良かったと思う方のﾎﾞｰﾙを高く上げる事になっている。
つまり、審査員の判定で差がついたとしても、10点分はひっくり返す可能性があるって事だ。


そして、盛大なﾌｧﾝﾌｧｰﾚの音楽と共に、私達の最後の戦いが始まった。



ー2時間後ー

ﾀｲﾑｱｯﾌﾟとなり、私達はｽﾃｰｼﾞ前へと移動する。


先攻はﾊﾟﾘ。

お皿には色とりどりの野菜が散りばめられ、中央には美味しそうなﾊﾝﾊﾞｰｸﾞ。
中を切るとﾁｰｽﾞや辛味ｿｰｽがとろけるように溢れ出す。
大人の好みも子供の好みも熟慮したﾒﾆｭｰだ。

ｽｲｰﾂは、大人にはﾘｷｭｰﾙの入ったﾁｮｺﾚｰﾄで作られたﾌｫﾝﾀﾞﾝｼｮｺﾗ。
子供には人気映画のｷｬﾗｸﾀｰをあしらったｱｲｽｹｰｷだ。
大人はその美味しさに唸り、子供は嬉しそうにはしゃいでいる。
ﾌﾟﾚｾﾞﾝも様々な家族ｴﾋﾟｿｰﾄﾞを折り交ぜていて、さすがとしか言い様がない。
会場の誰もがﾊﾟﾘの圧勝を予感している雰囲気だった。


そして後攻の私達。

茉莉香さんが作ったのは卵でくるまれた大きな鉄板料理だ。
切り口によって中身が違い、最大4種類の味が楽しめるようになっている。
大人好みのさっぱりした味から、子供好みの優しい味までみんなが味わってくれた。

いよいよｽｲｰﾂの番。
私はお願いをして、それぞれの親子同士が隣になるように席を座り変えてもらった。
ﾃｰﾌﾞﾙの上には沢山のﾊﾟﾝｹｰｷ。
あずきや生ｸﾘｰﾑ、ｶｯﾄﾌﾙｰﾂ、ｼﾛｯﾌﾟ等を並べる。
審査員をはじめ、司会者、観客席からもｻﾞﾜｻﾞﾜと声が聞こえてくる。


さぁ。

私の最後のﾌﾟﾚｾﾞﾝ。




全てをこの一瞬に…。

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