ずっとこのままで…8

一時お別れ ページ3

奥のｿﾌｧｰ席に座って打ち合わせが始まった。

茉「前にも言ったけど、囲み取材の時はAちゃんは何も話さなくていいからね。」
「は、はい。」
茉「Aちゃんから色々聞き出そうとする人もいるだろうけど、そこはうちのｽﾀｯﾌがしっかり守るから。」

ｽｰﾂを着たおじさんが数人私に向かってお辞儀をする。

茉「それと。研二くん達に送ってもらうのはここまで。」
「えっ…ど、どうしてですか…」
茉「研二くん達、ﾊﾞﾝﾄﾞやってるんでしょ？万が一、Aちゃんと一緒にﾃﾚﾋﾞ映ったりしたら影響が出るかも知れない。悪い意味で。」
「あっ……そっか……」
茉「心配しないで。研二くん達には先に搭乗口近くのﾗｳﾝｼﾞに移動しててもらうから。そこは会員制だから一般の人は入れないし、外からは見えないようになってる。そこまではうちのｽﾀｯﾌに案内させるから大丈夫よ。」

鬼「色々とお気遣いしていただいてすみません。」
歌「ありがとうございます。」
喜「じゃあ俺らは先に行くか。」
樽「…A。向こうで待ってるからね。」

茉莉香さんにお礼を言って席を立つ4人。

喜「お前…なんて顔してんだよ…ばか。不安になる必要ねぇよ。」
歌「Aちゃん。すぐ会えるから。ねっ？」
鬼「大丈夫だよ。頑張っておいで。」
樽「A。俺達はいつでもここに居るから。」

研二は私の前にしゃがみ、自分の左胸を拳でﾄﾝﾄﾝｯと叩いた。
その仕草に頷く3人。
涙が零れそうなのを必死にこらえて私は笑顔でみんなを見送った。


茉「彼ら、本当にAちゃんの事大切に想ってるのね。」
「茉莉香さん…」
茉「ごめんね、寂しい思いさせて。」
「…いえ。大丈夫です！頑張るって決めたんで！」

茉「さ、私達も行きましょう！」
「はい！」


私は茉莉香さんの事務所の方が用意してくれた車に乗り込んだ。
緊張しないようにｽﾀｯﾌさん達も色々と話し掛けてくれる。



あ、研二からﾒｰﾙだ。



to.A

今、ﾗｳﾝｼﾞに着いたよ♪
すっげー広い個室に案内された！
みんなくつろいでるからさ、心配しないで！
Aの事待ってるからね。頑張れ！

愛しとーよ(*´д｀*)



最後にはｿﾌｧｰでかっこつけてる4人の写ﾒが。
きっと同行してくれたｽﾀｯﾌさんに頼んだのだろう(笑)
茉莉香さんに画像を見せたらお腹を抱えて爆笑していた。



みんな、ありがとう。


私…頑張ってくる！




空港に着き、想像を超える取材陣の数に圧倒されながらも、私は足を進めた。

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