ずっとこのままで…8

思わぬ形で(研二side) ページ13

雑誌の撮影もﾗｼﾞｵ出演も終わり、みんなといきつけの食堂で夕飯を食べていた。

喜「A…どうだったかなぁ。」
歌「そうだね。今日は初戦と2回戦だったよね。」
鬼「Aちゃんのﾊﾟﾃｨｼｴ姿…可愛いんだろうなぁ…」

みんなも気になるらしく、自然とAの話題になる。

A…大丈夫かな…。
頑張ってるかな…。
俺の頭の中もAでいっぱいだった。



「続いては。当TV局独占放送。ｶﾘｽﾏﾊﾟﾃｨｼｴとｼﾝﾃﾞﾚﾗｶﾞｰﾙに密着！です。」



俺達は一斉にTVの方を見た。

画面には昨日のｾﾚﾓﾆｰの様子が映し出される。

樽「A！！」

Aはｵｼｬﾚなﾎﾟﾆｰﾃｰﾙをして、茉莉香さんとお揃いのｽｰﾂ姿。

喜「うぉー……A…すっげぇ綺麗……」
歌「ﾒｲｸも妖艶な感じで色っぽいね〜……」
鬼「あのｽｰﾂ、ｽﾀｲﾙ良くなきゃ着れないよな……」

3人は口をﾎﾟｶｰﾝと開けたままTVに釘付けになっている。

空港の時と違いAも柔かな表情でｲﾝﾀﾋﾞｭｰに答えていて、何だかﾎｯとした。

それにしても…美人すぎるだろ…。
見た事のないAの姿に胸の高鳴りが止まらない。


報「Aさんにとって毎日が緊張の連続になると思いますが…」

記者の質問に対して、Aはﾆｺｯと笑って答え始めた。

「貴重な体験をさせてもらえて感謝しています。自分の出来る事を1つ1つ確実にこなしていけたらいいなと思っています。」
報「独自のﾘﾗｯｸｽ方法等はあるのですか？」
「毎日、日本に居る人とｽｶｲﾌﾟで話をする約束をしているので、それが私のﾘﾗｯｸｽ法ですね。」
報「それは…恋人ですか？TokyoWalkerでは一緒に暮らしている恋人が居ると言っていましたよね？」
「そうですね。恋人もそうですけど、沢山の大切な人達が今の私を支えてくれているので。」


喜「なぁ！大切な人って俺の事だよな！？」
鬼「ちょっ…！な、何言ってんだよ。俺の事だって。」
歌「いやいや。僕を忘れてもらっちゃ困るよ。」
樽「まぁみんなはその他大勢扱いって事ばい♪」

俺達はAの言葉に大騒ぎ。
ｲﾝﾀﾋﾞｭｰが終わり、会場に戻る2人の後ろ姿が映る。
と思ったら、Aがｸﾙｯと振り返った。



ちゅっ…



Aは胸元につけたﾌﾞﾛｰﾁを外し、ｶﾒﾗに見えるようにｷｽをして手を振り去って行った。



ありがと…。

Aの気持ち…しっかり受け取ったよ。



俺達はもう一度乾杯をして熱くなった体にﾋﾞｰﾙを流し込んだ。

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