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そのまま部屋を出ていった先生に、申し訳なさを募らせながら、身体の寒気に白い布団に包まる。
....身体が弱っている時は、精神の方も弱ってしまうらしい。
頭には、罪悪感やら虚無感やら、なんと呼ぶのが正解なのか解らないほどにあらゆるネガティブな考えがひっきりなしに浮かんでくる。
それでも一貫しているのは、「先生にこれ以上迷惑をかける訳にはいかない」という事だった。
....だって、私と先生は「生徒と教師」で、先生には彼女が居る。....先生が異国の王子様なら、私はきっと、義理の姉....にもなれないな。せいぜい、舞踏会で王子に見惚れた何処かの誰か、くらいのものだ。
要するに『私じゃない』のだ。....そういう事だよね、きっと。
突き付けられた現実と、それに反して__教師として優しくしてくれる先生。その苦しみと優しさとが綯い交ぜになって、どうしようもなく涙が出そうになった。
先生の布団汚すわけにはいかないし、って堪えていると、先生がその部屋に戻ってくる。
その手には、お粥とお水、薬の乗ったトレー。
「A、お粥持ってきたけど....起き上がれそう?」
「....はい、」
正直めちゃくちゃしんどかったけど、ただでさえ迷惑掛けてるんだから。そう言い聞かせて、ゆっくりと起き上がる。
器ごとお粥を受け取って、少しずつそれを口に運ぶ。
黙って隣にいてくれる先生のその優しさが、こんなにも苦しいと思ったのは初めてだった。
....それでも、その状況に今日まではと甘えてしまうから、やっぱり私はまだ子供だ。
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らぱん( ・×・ )(プロフ) - 辰海恋歌さん» コメントありがとうございます! 曲通りに終わらせましたが、この先きっとこの二人は幸せになってくれると思います!こちらこそ楽しんで頂けて嬉しいです、最後まで読んで頂きありがとうございました! (2019年4月8日 7時) (レス) id: 4213176f5b (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - 完結おめでとうございます。一言言えるのは、この中では、あの子が曲名通りになれて良かった…ということです。素敵で、もどかしくて、そして温かい作品を、本当にありがとうございました。読んでいてとても楽しかったです。 (2019年4月7日 23時) (レス) id: b18219f6f9 (このIDを非表示/違反報告)
らぱん( ・×・ )(プロフ) - てこゆのさん» ありがとうございます!私も似たような現象起こるのでお気持ち分かります(笑)でもこうしてコメントして頂けるだけで嬉しいです、ありがとうございます! (2019年4月1日 11時) (レス) id: 4213176f5b (このIDを非表示/違反報告)
てこゆの(プロフ) - 完結おめでとうございます!!つい最近になってこの小説を見つけたのですが、読み始めた瞬間から引き込まれてしまいました。他の方のように何かしっかりとした感想を書こうとしても、あまりにも素晴らしくて言葉が出てきません...!胸がいっぱいです!! (2019年4月1日 9時) (レス) id: 5d44cadab1 (このIDを非表示/違反報告)
らぱん( ・×・ )(プロフ) - Rinさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます!クオリティ高くなってますでしょうか、嬉しいです....!曲への愛を詰め込んだ結果こんな感じになりました(笑) ありがとうございました! (2019年4月1日 7時) (レス) id: 4213176f5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らぱん( ・×・ ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=d9fece3f785bc7d3ebaeeecd6103e95f...
作成日時:2019年3月19日 18時