一番にはなれない【💛】 (ページ24)

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テストの返却日以降、Aは週に2回か3回、放課後になると資料室に顔を出すようになった。
授業でわからない所を聞かれる日もあれば、「先生に会いに来ました」なんて冗談を言って訪れては、僕と話をして帰ることもあった。

この時は「なんだかすっかり懐かれてしまったな」程度に思っていた。
というのも、普段通りに放課後に顔を出したAが、ある日こんな事を言い出したのだ。

「折原先生。先生の事、千羅先生って呼んでも良いですか」

「？よく下の名前覚えてたね、四月に言ったきりなのに」

「記憶力はそこそこあるので。....良いですか？」

「まぁええけど....他の先生とかに見つかったら面倒そうやし、二人の時だけな？」

「！はい、わかりました」

突拍子もない提案だと思った。
なんでそんな事を言い出すのかもその時はわからなかったし、それがどんな意味を持つのかなんて事も、微塵も考えなかった。
....でも、そうして先生として慕われている様な感覚は心地良くて、特に遠ざけるでもなく好きにさせていた。実際生徒と先生としてはかなり仲が良い状態だったと思う。

このタイミングで、彼女の気持ちを察する事が出来ていたら。

....今思えば、この時の行動も間違いやったのかもしれへんな。

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