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「....はぁ」
....あれから....あの夏休みの日から、数週間。夏休みが明けてから、一週間くらい。
新学期は、前期と違う、苦しい毎日だった。
時間割が変わって週一回、水曜日だけになった世界史の授業。課題提出を言い訳に先生と会えるチャンスは減ってしまった。でも先生はまた少し忙しくなったみたいで、課題を出しにその部屋に行っても部屋の鍵さえ開いていなかった。代わりに廊下に置かれた机と『課題はこの中にお願いします』と書かれた段ボール箱に、指示通りにして家に帰る日々が続いた。
そして一番苦しかったのは....夏休みのあの日以降、授業中でさえ、先生と一度も目が合わなかった事だった。
そんな長い長い体感時間の、世界史の授業の後。休み時間になってざわつく教室の中で、とある女の子の声が耳に入ってきた。
「そういえばさ、折原先生が女子生徒の誰かと付き合ってるって話、結局どうだったんだろうね」
あの噂だ。....そうだ、まだ先生と私は、そういう風に見えてるんだ。
....まだ、大丈夫。巻き返せるよ。だって、今年の私の強運具合は異常だし。
そう言い聞かせても前みたいに優越感なんて湧いてこなくて、むしろ胸にぽっかりと穴が空いたような虚しさに襲われて。それから逃れたくて教室を出ようかと机の上を片付けた所で、話の続きが耳に入ってきた。
「でもなんか、先生彼女居るらしいよ、地元の方に」
「なんだぁ、そうなの?」
「前田があの噂本当ですかって聞いたら、先生が同い年の彼女居るって言ったんだってさ。」
「ちぇ、なんだ。生徒でもワンチャンあるのかな〜とか思ってたのに」
「それは無いって確定しちゃったね」
冗談交じりに言う女の子達二人の笑い声が、遠のいていく。
....え?先生に彼女?....そんなの聞いてない。何それ。どういうこと?
数学の先生が入ってきてふっと現実に引き戻されて、慌てて教科書を引っ張り出した。
けど、授業どころではないくらいにその噂が頭の中をぐるぐるしていた。
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作者名:らぱん( ・×・ ) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=d9fece3f785bc7d3ebaeeecd6103e95f...
作成日時:2019年2月23日 17時