え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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まふまふside

〈ちょっとまふ、ちゃんと聞いてくれてる???〉

｢き、きいてるよお…｣

ならいいけど、と不満げな声を漏らすのは“となりの坂田。”こと、坂田悠だ。

〈ほんでさ、俺思ったんやけどもういっそのこと公式アカウント作ったほうがええんちゃうかな？

ほんでもうマウント取りまくったったらええんちゃうかって思うんようになったんやけど〉

｢いやあ…それはやめといた方がいいんじゃない？｣

電話である故、顔を見えないのをいいことに僕は思い切り顔をひきつらせてやっとそう言った。

駄目だ、もう怒りとショックで元々馬鹿だった自制心がさらに馬鹿になっている。

きっと坂田がそんなアカウントを作ってしまったらそのアカウントのツイートは規制音だらけになってしまうだろう。

そしてそれに便上してそらるさんがまたツイートを……その先は、考えるだけでもおぞましい。

〈ほんっっっまムカつくわそらカレてなんやねんそらカレて!!!
そんなネーミングセンスないアカウントないわ!!!!!!!!
なりすましなんかさっさとやめろやほんま鬱陶しい！

あいつこのまま続けるようなんやったら出るとこ出るからな！〉

｢あ、あはは、やり過ぎないようにね…｣

ダメだこいつ。

全くと言っていいほど僕の話を聞いていない。

さっきやめといた方がいいというのが聞こえなかったのか、こいつは。

元々電話をし始めて間もないときには、僕達の会話にAちゃんも参加していた。

そのせいか前半はまだ言葉をオブラートに包んでいる方ではあったのだ。

それでも時々Aちゃんの“悠、言いすぎだよ…”という注意の声が聞こえたが。

しかし、そんなストッパー役であったAちゃんが泣き疲れて就寝してからが地獄だった。

声のボリュームを必要最少限に抑えているところには彼の気遣いと優しさを感じられるが、言っていることの過激度はどんどん上昇していっている。

｢なんか…どんどん坂田が怖くなってきたんですけど…｣

〈えー、そおかな？

俺より斎藤の方が怖いわ〉

｢そういやあの子も大概だったな…｣

ここで説明しておこう。

Aちゃんのセコム三大巨頭と言えば、もちろんそれは“兄” “彼氏” “親友” の3チームである。

友人ではなく、親友であることに彼女なりのポイントがあるらしい。

兄枠は言わずもがなそらるさん、彼氏枠はもちろんさかたん、そして親友枠のリーダーといえば美月ちゃん。

ちなみに僕は勝手に兄枠のメンバーに数えられている。

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