え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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坂田side

玄関前にたどり着いた時、いつもなら怒られるチャイム連打をするかしないか散々迷った挙句、結局1度だけ控えめに押した。

ドアを開けたのはAではなく、斎藤。

うーん、なんかやっぱ違和感。

｢悪かったわね、Aじゃなくて｣

斎藤の目は赤く腫れていて、メイクも全て落とされていた。

｢ウソ、俺そんな嫌そうな顔してた？｣

｢してたよ、割とがっつり｣

斎藤は呆れ返った様子でため息をつき、リビングへと戻っていった。

俺が急いで靴を脱いでその後を追いかけると、リビングにはカーペットに寝そべってスマホをいじる96猫。

｢あ、さかたん。
ちょっと詳しいこと話すから、座って｣

｢え？あ、ちょ、え？｣

俺が帰ってきたのを見るなりがばりと起き上がり、何も分からない俺を椅子に座らせた。

齋藤も96猫の隣、俺の斜め前の席に座る。

｢まず、なりすましってのが、これ。

設定としては
“そらちゃんの彼氏”
“そらちゃんにはTwitterのことは内緒にしている”
“そらちゃん大好き”
って感じかな｣

そう言って見せられたツイートに吐き気がする。

｢っは、なにこれ、俺こんなツイートせんし。

なにこれきも、は？
マジムカつくねんけど｣

こんなプライバシーもクソもないツイート彼氏といえどするわけないやろ。

握りしめた拳がぶるぶると震える。

｢しょうがないよ、リスナーさんにはわかんないもん。
気持ちはわかるけど、ちょっと冷静になって。

とりあえず、このアカウント坂田のLINEに送っとくから。
彼方さんとかうちの社員とかにも送って今みんなに通報頼んでる｣

｢わしも公式アカウントで注意はした。
あとそらるんとまふちゃんとつっきーも公式アカウントで注意したし｣

｢じゃ、じゃあ俺も＿＿＿＿｣

俺も、公式アカウントで注意する。

その後、ほかのメンバーにも注意してもらおう。

そう言おうとした時、斎藤がゆっくりと首をふった。

｢坂田は、ダメ。
センラも、浦田先輩も月崎先輩もツイートしないで｣

｢は?!
なんでなん？

俺はAの彼氏やし、それくらい良いやん！
そんぐらいしな、気すめへんねんけど｣

誰やねん、俺の彼女を傷つけたのは。

泣かしたのは、誰なんや。

許せない、そんな気持ちでいっぱいだった。

すると、96猫が眉をひそめて２階を指さした。

｢ちょっとさかたん、静かにしてや。
Aちゃん寝てんねんから｣

｢う、あ、ごめん…｣

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