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「あれ、そういえばカレシは？」
「え、この子彼氏いんのかよ〜はやく言えよ〜」
見覚えのない人が嫌な感じでニヤニヤして、見覚えのある男子の肩を小突く。
苛立ちと言うよりかはどうしようもない、なんとも言えない気まずさが辛い。
身内ノリに私を巻き込まないでくれ。
「ちなみにこいつの彼氏超イケメン」
「え〜、俺より？」
「ばっか、お前より100倍は顔いいよ。ね？」
「おいおい彼女さんドン引きしちゃってるからやめろってぇ！」
ね？なんて、同意を求められましても困る。
全ての発言のうしろに(笑)がついてるように聞こえるのは気のせいだろうか。
あはは…なんて愛想笑いをして誤魔化した。
早く立ち去ってくれ。おねがいだから。
願いとは裏腹に、男子たちは仲間内で盛り上がりはじめちゃって、もう私のコミュ力では太刀打ちできない。
「あ、でも月崎チビではあるよな。
15…4？2だったっけ、あいつ」
「お、身長だけなら俺とかどうすか彼女さん」
「あ〜身長だけなら？それなら俺も俺も！」
「俺も立候補しよっかな〜」
「あ、オレもオレも。」
かちん。
きっと漫画なら、背景にそういう擬音語がついただろう。
呆れてものもいえなかったが、こればっかりは言い返さなくてば。
154でも152でもなく、156です。
そこ？と言われそうだが、そう、私にとっては、1番大事なのはそこだ。
私の気持ちよりも、この場面においては彼のメンツが大事だから。
4cmの重みはでかいから。
だから、そう言おうとした瞬間。
「…なに？なにしてんの。」
聞きなれた低い声。
いつもより少しかすれてて、語尾が少し鋭い調子で上がってて、ああ怒ってるなあと頭の片隅で思う。
列の途中で引き返してきたのか、彼の手元にクレープはない。
いきなり肩を引き寄せられてびっくりして顔をみて、またびっくりする。
ほんとに綺麗な顔。
ただの男子高校生なのに肌はつやつやすべすべだし、パーツひとつひとつがハッキリしてて、配置も完璧だ。
綺麗に整えられた眉がひそめられて、大きな瞳が目の前の男子をまっすぐに見ていた。
睨みつけるでもなく、真顔で見つめるだけ。
それでも、顔が綺麗だから迫力があって、なんだか、私の方が緊張しちゃう。
「白昼堂々、5人で人の女囲んで、口説いてるっちゅーわけ？
面白そうなことしとるね。」
と、形のいい唇が弧を描く。
空気が凍った瞬間だった。
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作者名：弥生2nd@夢見月 | 作成日時：2023年4月23日 3時
