sm sub ページ7
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気に入らない。
何が気に入らないって、この状況全てだ。
文化祭を2人で回るという約束をしたというのに！
「連絡先とかはちょっと！すんません！
彼女いるんで！ごめんね！すんません！すんません！
ごめんね！ちょっと通らせてください！ごめんなさーい！
あっ、連絡先とかはちょっと…」
私の数メートル後ろで、さっきまでは隣で私と談笑していた男が大量の女の子にもみくちゃにされている。
教室から出たとたんこれだというのだから、きっと2人で文化祭をゆっくりとは楽しめないだろう。
「今年もすごいねー、まーしぃは。」
『浦田…、ちょっとあれ、どうにかしてよ！』
「ムリ、俺も彼女と回る約束してっから。」
そう言われると、無理に引き止めるわけにもいかず。
行ってらっしゃい、と手を振った。
うきうきで、さっ行こ、と彼女である副会長の手をとる浦田の溶けた顔といったら、写真にとってやりたいくらいだった。
「はあ、やっとぬけれたっ、ごめんやん〜〜！
「あ、あの！LINEとかって……」すいません、連絡先とかはちょっと！彼女いるんで！」
『…………。』
次から次へと、これだ。
分かってる。私の彼氏は顔がいい。
すこし低身長なところを差し引いても、優良物件である。
しかも、超のつく。
「なんやの、次から次へと〜！もう！」
ぷく、と頬を膨らませ、もう離れんから！と言いたげに私にしがみついてくる志麻。
ちらほらと声をかけてくる人を適当にいなしつつ、彼は私の顔色をうかがっていた。
『今年も相変わらず大人気なことで。』
「怒らんでや〜〜！！
俺はちゃんと断ってるもん〜〜〜〜！！」
えーんえーん、と派手でわざとらしい泣き真似。
くそ、あざとい真似をしおって。
志麻泣いちゃう！と可愛く言われるとなんだか拗ねる気も失せちゃって困る。
『そんなカッコしてるから目立つんだよ』
「ええ、だってせっかく俺らシンデレラしたんやから王子様とお姫様でデートしたいやん？」
な？と笑う笑顔も、王子の衣装を着ているおかげで王子様スマイルに早変わり。
確かに、学芸会の衣装を着たまま文化祭を回ろうという約束は乙女心をくすぐられるんだけど。
問題はあなたが人気すぎるところなんだってば。
「しかも俺、お前のドレスの姿ちょっとしか見てないもーん。
もっと見な、見たりへんよ。」
『…このロマンチスト！』
「照れ隠しかいな。」
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作者名：弥生2nd@夢見月 | 作成日時：2023年4月23日 3時
