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「おま、おまっ、いつから居たんだよ!」

「あれ、うらたくん気づかなかったの」

『…う、ついさっき、から』

「な、ば、〜〜〜〜っ、バカっ!!!」

少女漫画のヒロインのごとく顔を赤くした浦田は乱暴に私の手を掴んでずかずかと歩き出す。

『怒るのは私の方でしょ!
なんでうらたが怒ってんの』

「も〜、ばか!!分かれよ!!」

『いや、分かんないよ…』

ごにょごにょと口ごもるうらたは、あ〜もう!と頭をガシガシとかいた後に、無言で私をいつものカフェに引っ張っていった。

耳は真っ赤で、暑い暑いと連呼するうらたは少し面白くて、珍しくて、さっきまでの悲しみもこころなしか少し薄れる。

『ここまで黙って引っ張ってきたんだから、はやく言ってよ』

「言わねえ」

ぶっきらぼうにそう言ったっきり、うらたはココアをちびちびと飲む。

なんだそれ。

『怒るのは私の方なんだからね!
浮気したがってるのかもって一瞬思っちゃったじゃん!』

「う、それは、そうかも、だけど…

俺にも俺の言い分があるっていうか……」

『なに、言いなさいよ』

「だ〜〜、もう!!

言えるわけねーだろ!!!
お前の元彼はお前を泣かせたから死ぬほど嫌いだとか、ああやって定期的に悪口言いまくってるとか、実は卒業式の式典中ずっと睨んでたとか!!!
カッコ悪いし、女々しいだろ、そういうの!

あと、普通、その、恥ずいんだよ!!
どうせお前聞いてたんだろ!
俺が、お前のこと、可愛いって言ってたの!」

『……全部言ったじゃん』

「……くそぅ…」

目の前でうつ伏せでぶすくれる彼に、苦笑する。

全く、どうしようもない人。

私の事、めっちゃ好きじゃん。

「どーせ、俺は女々しくて必死で、かっこ悪い男ですよ!
いーよ、笑えば?」

『ごめんって。

別にカッコ悪いとか思わないけど。

女々しい人、別に嫌いじゃないし。』

「ちがう、俺は女々しくないよって言ってほしいの」

『女々しいじゃん、もはや女の子じゃん。

違うの?』

「…………」

本人にも思い当たる節があるのか、やりづらそうに目線をそらす。

なんでこの人、こんなに可愛いんだろ。

後輩の前では威厳のある生徒会長なのに。

『別にどうでもよくない?そんなの』

「よくない!!

俺だって、恥ずかしいんだよ!
こんな、カッコ悪いとこ見せるつもりなんかなかったの!」

『カッコ悪くないよ、別に』

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作者名:弥生2nd@夢見月 | 作成日時:2023年4月23日 3時

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