え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。【となりの坂田。】

・ ページ47

坂田side

『悠、今日いちにのさんで同時に寝ようね1人で爆睡しないでね』

｢いちにのさんって、んはは
俺そんなに器用ちゃうねんけど｣

『いいから！

とにかく、今日は1人にしないで』

助手席から運転席に座ってる俺に向かって何度も同じことを繰り返すAは本当に可愛らしい。

よっぽどホラゲーが怖かったんやなあ。

赤信号になったタイミングで後ろの席を覗き込めばそこには大量のショッパー。

｢それにしても……すごいショッパーの数やな…｣

『うん…お兄ちゃん家から車につむの大変だったね…
色々買ってくれるのは嬉しいんだけど……』

｢!!! お、俺やってAにいっぱいなんか買ってあげれるし…｣

『貴方は張り合わんでよろしい!!!』

あ、あれ、怒られた……？

『あのねぇ、これ以上買われても、正直着きれないから。

悠は自分の買いたいものを買えばいいんだよ』

｢俺はAに買ってあげたいんやけど｣

俺の必殺！ うるうるの目！

さあ、どう出る?!?!

『………それは、我慢して』

｢ちぇっ｣

ぐっ、と一瞬詰まったものの、却下された。

うーん最近これ効かんなぁ……

｢配信中俺の名前叫んでたくせに…｣

そうボソリと呟くとAは勢いよくこっちを振り向いた。

『……な、なんでそれを……』

顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。

リスナーの耳は誤魔化せても俺の耳は誤魔化されへんぞー。

悲鳴あげてる時しっかりと“悠”って聞こえたんやからな。

｢俺の名前叫ぶくらい怖かったん？ww｣

『お願いだから忘れて』

｢やーだ｣

んべっと舌を出せばAは顔を真っ赤にさせて俺をガクガクと揺さぶった。

運転中に揺さぶったら危ないで…

『お願い！』

｢むりむり｣

『無理じゃないし大体そんなこと言ってない』

｢えーそんなん今更言う？
俺のスマホに動画(証拠)あるし｣

『それも消して！』

言ってる事がもうめちゃくちゃになってるで。

｢……俺になんか買わせてくれたらええよ｣

そう言うと、Aはピタリと黙る。

おー、むっちゃ考えてる。

『……アクセサリー1つ、とかなら…』

｢うえーい可愛いの選ぼうなあ｣

『1つだからね！
それ以上は駄目！

あとスマホの動画も消して』

｢あは、わかったわかった｣

ま、ほんまは動画のデータはスマホじゃなくてUSBメモリの方にあるんやけどな…

そう心の中で舌を出しながら運転していると、Aのスマホに電話がかかってきた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す