え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。【となりの坂田。】

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まふまふside

｢ねえそらるさんなに拗ねてんですか｣

｢………べつにすねてないし｣

あからさまに不機嫌そうな声。

僕はAちゃんと坂田が帰った後に拗ねたそらるさんからお呼び出しをくらった。

だからこうしてご機嫌をとってるわけである。

｢いーや拗ねてます！
拗ねてるから信頼してるこの僕を呼んだんでしょ？｣

｢……勝手に言っとけ｣

｢もうそらるさんたら素直じゃないんですから…



というか、ドア越しに話すのやめません？｣

｢やだ｣

少し籠った声が返ってきてまたため息を着く。

そう、問題なのは僕の目の前にあるこのドアである。

僕らは顔を見れば細かい体調ぐらいは分かるものの、流石にユニットを組んでいるからといって声色ひとつで相手の機嫌を知ることは出来ない。

そらるさんの声だけを聞いて細かいことを見抜けるのは僕の知ってる中では今のところAちゃんだけである。

でも僕はそんな芸当できないし。

そろそろAちゃんには自分の言葉がどのような悪影響を及ぼすのか知ってもらった方がいいかもしれない。

本来なら迷わずAちゃんを召喚するところだけど多分そうしたら今度は坂田の機嫌が悪くなる。

多分Aちゃんには頼られて有頂天だから、今呼び出したら坂田は確実に病む。

それは僕が困る。

それはそれはもうひじょーーーに！ 困ってしまう！

拗ねたらそらるさんと同じぐらい面倒くさい坂田のお世話をさせられるなんて僕はごめんだ。

｢……なんで俺じゃなくて坂田なの……？｣

｢いや当たり前じゃないですか貴方めちゃくちゃビビってたんですから｣

そんな少女漫画の中のイケメンみたいなセリフを吐かれても今回ばかりはAちゃんの行動が正しい。

坂田とそらるさんだったらそりゃ坂田の方に助け求めるでしょ。

｢でも…その、ちょっとぐらい、頼ってくれても、よ、よかったじゃん……俺だって、俺だって……｣

ぼそぼそとドアの向こう側で呟いているそらるさん。

｢坂田は一緒に配信できないけど、俺は一緒に配信できるし…… なのにA、坂田にLINEするし…あいつ帰り際にドヤ顔してくるし…｣

本当に困った人だ。

｢要は、坂田にマウント取りたかったのとAちゃんにかっこいいところ見せて頼られたかったけど結果的に自分がビビりにビビってしまい坂田を頼られた挙句逆に坂田にマウント取られてしまったってことですか？｣

｢ち、違うし…！｣

いやいや、違わないだろ…!!!

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