え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。【となりの坂田。】

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志麻side

｢なあなあAは?!｣

｢うるせえ坂田黙れ!!!｣

｢だってAがおらんのやもん!!!｣

｢今お前ん家向かってるから!!!
お願いだからさ、静かにしてくんない？

マジ血圧上がってぶっ倒れそうだわ…｣

さっきから繰り返されている坂田とうらたさんの会話。

うらたさんは今むっちゃ不機嫌。

さっきから赤信号なる度に舌打ちしてるし。

おねがいやから事故だけは起こさんといてほしい。

｢志麻くん……おれ、明日休み取ろかな…｣

｢うん、そうした方がええと思う……｣

うらたさんと同様俺らもイライラはMAX。

さっきからずーーーっと“Aは?!”と耳元で叫ばれたらそりゃそうなる。

俺に至っては腹殴られたからな。

まだ痛いんやぞ、くそ。

｢Aは?!
なあなあなあなあAは?!｣

酒が抜けて頭が覚醒してきたのか動きが活発になってきた坂田がまた懲りずに叫び出す。

｢…………チッ

マジでいい加減にしろよ…
シラフに戻った時ぶっ飛ばしてやる……｣

お、おい今うらたさん舌打ちしたぞ！

しかもなんかブツブツ言ってるし!!!

こわあ……

俺のビビってる姿を見て何かを察したのかセンラが優しく坂田を宥める。

｢ハイハイ分かりました！
分かりましたから…

お願いやから俺らの為にもうらたんの血圧の為にも静かにしとってください…
うらたんもう三十路なんですよ…｣

｢そうやで、三十路やからな。
俺らの中で血圧上がったら1番ヤバいんやで。
元看護師なんやから分かるやろ？｣

｢そっかあー、わかった！
俺静かにしてるな!!!｣

舌足らずな言葉で返事をしてふんすと胸をはる坂田に志麻センコンビで拍手をおくる。

｢｢わあ、さかちゃんいい子やねぇー｣｣

そう言うと、坂田はんふふと嬉しそうに笑った。

末っ子属性えげつないな。

｢おいそこの2人甘やかすな!!!
あと三十路三十路いうな!!!｣

うらたさんの怒声と共に車が一度大きく揺れた。

あっぶな!!!

運転雑なってるし!!!

｢あひゃひゃ浦さん怒ったァ！｣

｢坂田お前はもう喋んな！｣

またうらたさんの地雷を踏み抜きそうな坂田の口を無理やり塞ぐ。

｢もががっ、まーしー何すんねん！｣

またバタバタと暴れ始める坂田をセンラと二人がかりで押さえつける。

これ以上うらたさんが怒ったら俺らの身が危ない！

｢坂田、ええ子ですから暴れんといてください！｣

｢いややぁ、はーなーせー！｣

その時、車内に一際大きな怒鳴り声が響いた。

｢お前ら、いい加減にしろぉ!!!!!!!!!｣

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