そう思ってるのはアナタだけ【フルーツバスケット】

持久走だと？ ページ12

その日の夜




Aが居間に戻ろうと廊下を歩いていると
庭から聞こえてくる音に目をやると


この真冬の空の下､半袖でトレーニングに
勤しむ夾がいた






『うっわ、夾、なにその格好！寒々しい…！！風邪引くぞぉ…
家入ろう？』

夾｢あ？んなヤワじゃねぇよ｣


『戻らないなら担いだまま連れてく』
夾｢余計だ！！｣

『この時期は私達弱りやすいから程々にしてよね』





そう言い残して居間に戻った





『由希、大丈夫？少し顔色が悪いように見えるけど』


由希「大丈夫」
透「草摩くん､明日は学校お休みされた方が…｣


由希｢いいよ｡そこまでしなくっても｣
透｢でも､明日は持久走がありますし…｣


『持久走なんてまだあるんだねぇ』





その時、スパァンと襖が開いてゴゴゴという
効果音がつくような夾が現れた





夾｢持久走だとぉ！！？？｣
透｢は､はい！ご存知なかったのですか…？｣

紫呉｢うっわ、夾くんなにその格好！寒々しい！！」
『それさっき私が言った』


夾｢持久走…マラソン…大勢で走る物…つまりは…
勝負事かぁ…！！」

『勝負する必要とは…』


夾「よっしゃあ！明日はどっちが速ぇかはっきり
させたらぁ！！」

透｢あ､あのでも､草摩くん風邪気味で…」


夾｢風邪だぁ！？日々の鍛錬を怠るからんな女々しいモンに
かかるんだ！！メシ食って風呂入って寝りゃ治る
逃げんじゃねぇぞ…？｣




メラメラと今日何度目かの闘志の炎を燃やしつつ
夾は居間に入ることなく出ていった｡



紫呉とAは「若者は元気だねー」と
呟きつつも､薬を由希に渡す｡





紫呉｢でも真面目な話､僕らは体が弱ると
変身しちゃうんだから」

『無理は禁物だよ？』
由希｢うん…｣







透は不安そうに顔を見合わせどうか明日が無事に
過ぎますように…と願うしかなかった







紫呉「持久走かぁ…懐かしいね」
『アンタはやる気もクソもなかったじゃん』

紫呉「どっかの誰かさんに拉致られて持久走させられた
んだよねぇ」


透「えぇ？！」
『走らないアンタが悪い』ﾆｯｺｫ


由希「(Aが拉致ったのか…)」


紫呉「当時のAは凄かったんだよ？」
透「そうなのですか？」


『確か、海原高校だったよね？学校の何処かに
あると思うよ？3年連続持久走1番速く走って
帰って来たっていう私の表彰が』


由希/透「えぇ？！」



紫呉「皆、逆に引いてたもんね」
『そうそう！』

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