私は皆と一緒に居たい…【フルーツバスケット】

家に ページ21

ある数十分前




由希｢住所だけじゃ検討つかないや｡
とりあえず交番で聞いて…｣

夾｢こらぁクソ由希ぃ！！メモ返しやがれぇ！！｣




そんな由希の後ろを土煙全開で追いかけてきた夾｡

仕方なく二人揃って探すことになったが｡





由希｢違う…違う、此処も違う｣
夾｢おい｡1周しちまったぞ｣


由希｢可笑しいな…このブロックの何処かのはずなんだけど｣

夾｢本田なんて表札どこにもねぇじゃねぇか！貸せよ！｣

由希｢やだね｣


夾｢テメェ！改築仕立てでピカピカなんだから､こんだけ
探してもねぇってのは可笑しいじゃねぇか！｣

由希｢……あ｣





＿＿『あ、でも…外壁はまだ…住む分には
大丈夫だそうで｡だから…』＿＿





以前言っていた言葉を思い出した由希は来た道を引き返し
すぐそこにあったブルーシートがかけられた家を見上げる｡




夾｢おい！なんだってんだよ｣
由希｢あった｣




ブルーシートがかけられた表札を少し伸ばしてみると､
｢本田｣という透けた文字が見えた｡




夾｢全然改装中じゃねぇか｣
由希｢外壁はね｡とりあえず､本田さんと霧山さんと話そう｣

夾｢あぁ｣





インターホンが取り付け前だった為､由希が
ドアをノックするも返事がない｡





由希｢…出てこないや｣
夾｢聞こえてねぇんじゃねぇのか？退けよ｣






夾が扉の前に立ち､すぅ……っと息を吸う｡

そして一気に声を張って､ご近所迷惑よろしく
叫び出した｡







夾｢頼もー！！｣
由希｢待った！｣




叫んだ瞬間､由希が夾の口を塞ぎそのまま地面へと押し付ける
ように後ろへ倒した。




夾｢ってぇな！！何すんだクソ鼠！｣
由希｢しっ！｣

夾｢…あぁ？｣





庭の方から微かに漏れた声が聞こえて声のする方へ
行ってみると､カーテンの隙間からリビングの様子が見え
そこには2人の姿があった｡


何を話しているのかは微かに聞こえてきたが､
とても穏やかな話をしているとは思えなかった｡






自分達に見せてくれていた明るい笑顔や穏やかな表情が
嘘のように､2人は俯いたままでそれだけで夾と由希は2人が
この家の人達にどう思われているのか分かってしまった｡






「透ちゃん達さぁ､その家の男達に
いかがわしい事とかされなかったぁ？」

由希/夾｢…っ！！｣

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