LADY 《紫》 (ページ26)

今日:13 hit、昨日:15 hit、合計:97,781 hit

lady twenty-six ◎ ページ26

｢え、さんじゅう…｣

だめだ…

眠い｡

最近村上さん家に居候してて
夜早く寝てたせいで

眠気が早い｡

歳がわかったのに
その上

名前は…

渋谷｢あ～酔ってんなぁ｡酒弱いんか？｣

弱いわけないでしょ！

｢渋谷… さ、ん？｣

渋谷｢堅苦しいわ名字で呼ぶとか、｣

… え。

村上『村上さんとか堅苦しゅうくて嫌や… 』

関西人って似てるんですか？

思わず笑ってしまう。

渋谷｢え、笑うとかきしょ…｣

｢あ、すみません… 笑｣

てか、きしょとか…、嘘でも一目惚れした相手に言う？

渋谷さんのキャラ分かんない。

やばい、ちょっと私おかしい …

お酒飲みすぎかぁ…

そろそろ帰ろうかなって

携帯の待受見た時

思ってもない人物から

連絡が来てた｡

｢あの、ｯ！｣

渋谷｢うぉ… え?! 何？｣

突然大声出して立ち上がる私｡

｢帰りますね！これｯ置いときます！｣

お札を手元に置き背を向ける｡

渋谷｢え、ちょっ、自分は名前すら言わへんのか！！｣

そんな声が背中から聞こえてきて

｢あ。｣

渋谷さんの元まで戻り、
財布からちょっと派手めの名刺を出した｡

｢では、笑｣

呆気にとられた美青年…いや、綺麗なおじさんをほったらかして店を飛び出た｡

村上さんから…

まさか、連絡が来てたなんて｡

村上さんだけで

さっきの男とか忘れちゃうくらい頭いっぱいなってる｡

ちょっと素直じゃないメッセージを何度も読み返す｡

もう既読つけたけど何故かスグには返したくなくて

数時間前の村上さんのメッセージ、早く返さなきゃいけないのに

返したくないなこれは。笑

村上 "連絡先、聞いたから。"

これだけ笑

でも私が
はい！宜しくお願いします！

って返したら

きっとね既読スルーされるに決まってる。

すぐに終わる会話だよね明らかに｡

余計なことは話したくない｡ってのが文面から凄く伝わった。

お酒が吹っ飛んでるほど
村上さんの性格分かってる自分に寒気がする。

ちらっと見ると

空がグラデーションに染まってきて、

薄らと東にちょっと明るい色が見えた｡

もうすぐ… 朝だ｡

あえて村上さんのLINEは既読スルーしたまま歩きだした。