最後のｵﾝﾅにして。〝yellow〟 (ページ36)

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｢悪くなんか…無いですよ。｣

そんなに自分を悪く言わないでほしくて

いつも安心させてくれる大きな手のひらのお返しに

あたしは小さな両腕で先輩を抱きしめた。

横山｢A?!｣

むしろこんなあたしが醜くなるほどこの人は健気だ。

嘘だと思っちゃってごめんなさい。

あの時ちゃんと返事聞いてたらきっとこの人と付き合ってた。

…でも…あたし

中途半端じゃ無理。

横山｢先輩を好きになるなら初めから恋がしたいです。｣

もう一度あの頃に戻りたい。

初めて告白した日に。

そしたらきっと先輩を好きになる。今まで以上に。

横山｢あかんかぁやっぱり。｣

｢ごめんなさい。あたしは今亮くんに恋してますから。｣

横山｢ん。ありがと。｣

ふってくれて…って微笑んでくれた。

横山｢そろそろ離れてくれな、理性アカンくなるからさ？｣

あ、と言われて離れる。

やばぃっ。照れちゃう//

ちらっと先輩を見てみたら相変わらず真っ赤に照れてた。

横山｢…遅いからっ、送るっ！｣

｢え？あ、ありがとうございます！｣

お言葉に甘えてあたしと横山先輩は公園を出た。

帰り道はずっと他愛のない話して。

家の前に着いた時、

横山｢じゃあ、帰るな。｣

｢ありがとうございました！あの…気をつけてくださいね！｣

横山｢くすっ…さんきゅ。｣

歩きだそうとした先輩はふと立ち止まる。

横山｢最後にええかな？｣

｢ん？｣

横山｢こうやって送るのも絶ッ対最後やろうし。｣

｢何ですか？｣

状況が分からないまま

先輩の顔が近づいてきて…

咄嗟に目をつぶってしまった。

あたしの額に温かい何かが触れる。

そして先輩は

微笑んで今度こそ去っていった。