枯れた涙跡《赤》 (ページ28)

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「足りない！何かが足りない。」

真澄「おいおいどーしたよ。最近変じゃん。」

「言ってる通り足りないの。」

真澄「意味わからない。」

真澄にはわからないんだな。

あたしのここ。。

真澄「何、？」

心臓あたり…どーかしてる。

真澄「ヒナとより戻して何が足りないの？今じゃ満足できないの？」

なんとなく、勘のいい真澄はわかってる。

だから説得力ありすぎて何も言えなくなることがある。

「信五は前に比べればマシになったよ。けれどね。。」

真澄「渋谷君なんか忘れなよ。所詮あんたを相手してもらうほどの暇人じゃないの。」

わかってるよ。

渋谷君はすごいモテる人だから。

でもそれを嫌ってるから。

本当はあたしなんかも相手にしたくなかったはずなのに。

一回迷惑だって言われたのに。

「渋谷君の言葉、全部が優しいから…」

迷惑の声さえも、ひどく聞こえるはずなのに。

優しい感じで何も言えなくて。

渋谷『なぁ？慰めたろっか？』

あの人の。

あの言葉が妙に懐かしい。

真澄「ヒナと渋谷君どっちがいいの？」

なんで…そんな二択をいうの？

「信五と渋谷君はあたしの中で全然違うよ。」

真澄「うん、違う。全然違うし。Aはどっかで勘違いしてんじゃないの？」

勘違い？

信五を好きになったこと？

フられて渋谷君に慰めてもらったこと？

渋谷君が、

『俺の勘違いやったらあかんかな？』

信五ともう一度やり直したこと？

あの時に渋谷君の手を払ったこと？

どっかで、間違って…

どっかで狂ってる。

「渋谷君に会いたい。」

真澄「はぁぁ。ヒナは？」

「毎日会ってるじゃん。」

あれから、

渋谷君とは学校内で会うこともなくなった。

あの屋上にも行かない。

勉強は、信五に教えてもらってる。

渋谷君は今何してるんだろう？

机に顔をぷっ潰して屋上に目を向けてみた。

あなたは、遠い存在です…

まるで、。

渋谷君と出会う前、信五に片思いしてた時のように…

屋上と教室…

渋谷君は屋上から今何を見つめてるんですか？

こんなにいつの間にか、渋谷君が私の中にいたんだな。

って、…今更気付く。