枯れた涙跡《赤》 (ページ19)

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村上「えーと、俺はちょっと訳あってサボり…」

「サボりとか…信五が？珍しいって。」

村上「まぁな。たまにはいっか。」

びっくりするよ、

渋谷君がいるんだと思って思いっきり開けたら

信五がいるんだから。

村上「サボりなら話さへんか？」

「あ、うん。」

村上「ん、A。隣おいで？」

迷わず隣に座った。

優しい声で呼ぶから。

あんなに優しい笑顔を向けるから。

また…鼓動が高鳴る…

信五のさらっと揺れる髪の毛。

ぱっちりした目に

しっかりと制服を着てる姿。

渋谷君とは違う…。

村上「いつも、来とったん？」

「あ、うん…渋谷君に数学教えてもらってた…」

村上「すばる？あいつと仲良うなったんか？」

「うん。」

渋谷君は私を慰めてくれたから…
そこから仲良くなったんだよ。

村上「そっか。」

二人の間がまたシーンとなる。

村上「今日…も、教えてもらうつもりやったんな。」

あたしの手に持ってる教材を見て
信五がつぶやく。

「渋谷君…授業受けてるの？」

村上「おん。今日はそうみたいやな。良かったら俺が教えたるわ。」

予想外の事で一瞬びっくりする。

「ええっ？いいの？」

村上「すばるよりかは自信ないんやけど、俺でいいなら。」

「教えてください…」

今のあたしは
早く数学の成績上げなきゃならんのです。

村上「任せろ‼︎」

って思いっきり笑顔を見せてくれたから。

あたしまで笑ってしまった。

同時にキュウって締め付けられる感じがして。

そして、

クシャって頭をどさくさに撫でてくれた信五の手にドキドキしてて。

やっぱり好きだなぁ。

ジィーっと信五の横顔を眺めてた…

村上「おい、聞いとんのか？」

ぽんって少し叩かれて…

「痛いー！」

村上「大袈裟に痛がるなや！」

「信五はいつも叩く‼︎」

村上「聞いてへんのが悪いんじゃボケ！」

笑い合ってる自分たちにびっくりした。

ギクシャクしてたのが嘘みたいに…

初めて今までよりもお互い近づけた気がした。