元SPは機動捜査隊【MIU404】

加々見2 ページ47

今朝上司を刺し殺したのは、加々見さん、貴方ですね？

父親への当てつけで上司を殺したんですよね？』

途中から、座り込んでしまった加々見にできる限り優しく話しかけた。

ポケットから写真を取り出した。

『そんなことのために、貴方の人生を棒に振ったんですか？』

加々見は、立ち上がり、私から無理矢理その写真を奪った。

そして、もう一度その写真は床に落ちた。

加「違う。

僕はただ許せなかっただけだ。

どうして、どうしてこんなはずじゃない。

こんなはずじゃない。

なんでこうなった。

始まりは、こいつの」

そう言うと、加々見は父の写真に包丁を刺した。

加「こいつの、こいつ、こいつ。」

”こいつ”と何度も言いながら、父の写真が刺さった包丁を床に何度も刺した。

加「それが事故で死んだ？

自分の息子が人を殺したことも知らずに。

何の復讐にもならないよ。

まだ一度も謝ってもらってない。」

『もうお父さんとの思い出なんて忘れて。』

私は、加々見にそっと近づいていった。

加「や、やめろ…来るなよ…来ないでくれ！」

『思い出すことなんてやめてしまっていいんですよ。

貴方の周りには沢山の素敵な人がいます。』

加々見は、立ち上がると、写真が刺さったままの包丁をこっちに向けてきた。

「刺すぞ！刺してやる！」

『刺しますか？殺しますか？

どうぞ殺してください、ご自由に。

それで、貴方が落ち着くならば。』

加「うわー。」

私の腕に包丁が刺さり、包丁も写真も赤い血で染まっていった。

そして、その包丁を抜き、静かに遠くへと投げ捨てた。

加々見は、刺してしまったことを驚いたのか、腰が抜けてしまった。

もうこの人には殺意なんてない。

『私には、加々見さんの気持ち全てを理解することなんて出来ません。

でも、貴方が優しい人だって分かりますよ？

どんなに辛くて、苦しくても人を殺めちゃ駄目です。

貴方には、大切な友達も、人質に取られても、貴方のことを信じてくれるご夫妻もいるんですから。』

そう言うと、丁度志摩さんと伊吹さんが来た。

志「加々見さん、あなたは人を殺した。

理由はどうあれ、命は取り返しがつかないんだよ。」

志摩さんがそういうと、伊吹さんは加々見さんに近寄り、片方を首元に手を軽く回し、もう片方の手で顔を触った。

伊「お前馬鹿だな。殺しちゃダメなんだよ。

なぁ？

相手がどんなにクズでもどんなにムカついても殺した方が負けだ。

なぁ、無実でいてほしかったなぁ…」

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