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そして、去年の夏のこと。

何故かソワソワとしながら炭治郎くんは席についた。

私の苗字が嘉摩尻(かまじり)と言う、なんとも珍しい苗z……いや、嘉摩尻と言う苗字なので、出席番号順で座っているこのクラスでは、必然的に竈門炭治郎の後ろの席になるのだ。

そして、突然炭治郎くんが振り向いた。


“…なぁ、A”


女の子に好かれるには、どうしたらいい?

そう言って、さっきよりもソワソワしながら言う彼は、本当に───恋を、していた。

そして、提案したのだ。


“それなら…私が炭治郎くんとカナヲちゃんをくっつけるね”


恐らく、何か、彼の役に立ちたかったんだと思う。

そうすれば、振り返ってもらえるかもしれない、カナヲちゃんではなく私を見てくれるかもしれない。

淡い期待を胸に抱いて、そう言った。

◇◇◇

そこから私は、ふたりの為に色々なことを試した。

こうすれば好かれるだろう、とか…こうすれば上手くデートに誘えるだろう、だとか。

私が考えたこと、全てが上手くいって、けれど、振り返って貰えることは無かった。

それはまるで、自分が自分自身の首を絞めているかのようで。

そこで初めて自分の気持ちに気付いて、なんで今まで気づかなかったんだろう、って後悔して、泣いたんだ。

神様は、どうしてこんなに意地悪なの?

こんなに頑張っているのに。
こんなに、振り向いて欲しいのに。

そんな気持ちを心に留めて、今日も貼り付けた笑みを向ける。




“いつも通りの、日常を。”

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作者名:Mika_duki | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jmjqg/  
作成日時:2020年7月3日 18時

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