Snowblanketの約束 (ページ39)

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涼side

『何してるの？』

声を掛ければ、ペンを置くA

薄いピンクの、ほんのりと罫線の入った便箋には、涙で滲んだインクの文字。

震える、その小さくてか弱くて消えてしまいそうな姿。

全てを包み込んだ。

小さく啜り泣くAが、なんだか今にも消えてしまいそうで。

シャボン玉のように壊れそうで、

抱きしめた腕を、離しそうになってしまう。

それなのに、Aはその手を離さない。

「私……好きなのかなぁ？」

「まだ、あの人が好きなのかな？私、何もいらないのになぁ……」

揺れる声

それはまるで、水のように透明で、

雲のように儚なかった

(まだ、好きなんだよね。きっと。忘れたいよ。貴方に触れることさえ許されない)

話しかけた時に外したイヤホンから流れる曲は、俺がよく聞く失恋ソングだった。

"色を変えたあなた壊れきった私を見て
差し出そうとした手を引っ込めたそう見えたの"

『雲行きはずっと分かってたけれど一縷の光に期待してたんだよな……』

「優斗くんが切った夜は、少し大きすぎた……」

同じ、失恋。

形はなんであれ、失恋に変わりはない。

結局は、ものの始まりはあることの終わりにしか過ぎないということ

Aの中に、まだあいつがいるのなら、

その存在を埋めるのは誰なのだろうか。