その先にあるもの。【ソンジュ】【約ネバ】

▼ 宣告 ページ21

その後、農園からの脱走者である子供たちを助けることに決めた。




理由は簡単だ。




アイーダならそれを望むはずだから。それから俺の微かな希望かな。




アイーダとムジカには少々申し訳ないが、俺は鬼だ。人間を食いたいと思うさ。




「ソンジュ」




「アイーダ……!?目が覚めたのか…お前、まだ立ち歩くには体が」




「聞いてソンジュ」




洞窟の壁にもたれかかって傷を負った腹部を抑えていた。




きっとまだ痛みがあるのだろう。




「……わたし……」




「無理はするな……無理して立っていなくていい!」




「わたし、多分もう長くない」



彼女は淡々と語った。




あの時の出血量が多すぎたこと




今、少しだが呼吸が苦しいこと




体が言う事を聞かなくなっていること。




「自分の体のことは自分が一番わかる……だから私は、もう多分助からない……」




「そんな、まだ決まったわけじゃない…喋らなくていい、すぐ体を休ませよう」




いつになく焦りを感じる。

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