「司書と秉が仲良くない。」 (ページ6)

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私服デートで萌えない訳がない。ページ6

『…なんで、河東先生がいらっしゃるんですか』

町中にある大型ショッピングモールに一組の

男女が並んで歩いていた。モール内はとても

賑やかであるのに二人の空気は緊迫感に包まれ

ていた。

碧「何でって、きよをこんな人の多い所に

　連れて来れるわけないでしょ。あいつ人混

　み嫌いなんだから。」

『だからといって、なんであなたが代わりに

　来るんですか！！』

楽しげなモール音楽は人の賑わいも吸い込み

二人の言い争いを小さくしてくれる。

碧「はあ！？きよが断れない性格なのを知って

　るよね！？だから親友の俺がわざわざ

　世間知らずの司書ちゃんに同行してあげ
　
　てるの！なんてったって、きよが心開い

　てくれてるのはのぼさんか俺かさっちー

　だけだからな！」

碧梧桐は鼻高々に誇らしげに話し出す。こうな

ると彼の、俗にいう身内自慢は止まらない。

『昨日虚子先生アイス投げつけられてたの

　に？』

昨日の晩、碧梧桐は正岡と酒を交わしながら、

氷菓子を食べていた。そこを偶然見かけた虚子

に怒られ、謝る間もなく顔に氷菓子を投げつけ

られたのだ。横にいた正岡はオロオロしてその

様子を見ていたが、その後二人はおとなしく

虚子に食堂から連行されて行ったことは言うま

でもない。

碧「別にいいもんね〜親友が俺を心配して

　くれるのは当然だもん。」

『酒にアイスって…アイスばっか食べてると

　太りますよ。』

碧「司書ちゃんと違って運動してるから大丈夫

　です〜」

確かに、碧梧桐は細い体に反して牛飲馬食だ。

だが、ただ細いだけではなく腕や上半身には

筋肉の筋や膨らみも見てとれ、潜書でもその

身体能力を存分に発揮している。

『……虚子先生は昨日快くOKしてくれたんですけ

　ど。てゆうか、虚子先生があまりプライベー

　トのこと話さないのも河東先生は知ってる

　筈ですよね！？何で今日出かけることを

　知ってるんですか！』

碧「～ッ、別に偶々通りかかったら聞こえた

　だけだし！此方だって、代わりに行こう

　かって聞いたとき何か安らかな顔されて

　行ってこいって言われたんだよ！？司書

　ちゃんきよになんか仕組んだんじゃない

　の！？」

周りが賑やかな分どんなに喧嘩しても目立た

ないため、二人の言い争いは続く。

だが、真相を言える筈がない

(司書)碧先生の誕生日プレゼントを買いにきたなんて、言えない。

(碧)司書ちゃんと一緒にデートしたかったな

　んて言えない。