No.138 泣かせてやりたい ページ43
.
ｰ豪炎寺sideｰ
俺がそう言うと、Aはそっと俺の腰に腕を回した
A「あたし、泣くとうるさいの知ってますよね？」
豪炎寺「知ってるさ」
A「…怒りませんか？」
豪炎寺「もちろん」
A「殴ったりもしませんか…っ？」
豪炎寺「絶対しない」
徐々に声が震えて、
腰に回している手の力が大きくなっていた
A「っ…絶対だから、ね？」
豪炎寺「ああ」
最後はもう敬語じゃなくなっていて、
安心してくれた、と読み取っていいのだろうか
Aはギュッと俺の服を強く握りしめて、
小さな声で「ありがとう、修也」と言った
『修也』と呼ばれた時、俺の口角は緩んだ
やっと、名前で呼んでくれた。と
A「ううっ……うっ…」
嗚咽しながらAは泣き始めた
肩が震えていて、とても弱々しく泣くAを見ると、胸が痛んだ
でもこれでAの心の荷がとれるのならば、
俺はずっとAの傍にいて、泣かせてやりたいと思う
A「ぅ…ぅわぁぁああああん……！！！」
嗚咽をしながらだった泣き声も、感情にまかせて絞り出すような泣き声になった
そんなAを俺はまた強く力を入れ、抱きしめた
A「痛かった…怖かった…っ！」
修也「……辛かったよな」
A「…うんっ……わぁぁぁ…！」
Aは、声をあげて激しく嘆き泣いた
その声は、俺の耳や胸に響いてくる
俺は、Aが泣き止むまでずっと、
Aのことを抱きしめた
.
A「うっ…ううっ…」
修也「……」
こんな風に泣き叫ぶAを見るなんて、
すごい久しぶりのことだ
はじめてAの泣くところを見たのは、
小学2年生の時だっただろうか
ちょうどその日は、サッカーはせずにただ2人で
あまり知らない道をうろうろしていた
『ちょっとした冒険気分だね』、なんてAは言っていたっけ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るぅ | 作成日時：2017年10月6日 21時
