晴れの日にも傘をさす (ページ18)

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18本目「名前」ページ18

僕が頬を触っても抵抗しない。
手当てをする僕の目をじっと見ては合うと逸らすの繰り返し。
そんな光景を晴くんと景くんは最初は見ていたのだが、ずっと見つめられていては落ち着かないだろうと、晴くんにはお茶の準備をするように、景くんには部屋を温めて欲しいと伝え、先に中に入ってもらった。

｢終わったよ、よく我慢できたね。
ね、ここじゃ床硬いし、寒くない？まず靴脱ご？｣

無駄かと思いきや、彼女は戸惑いながらも靴を脱ぎ始めた。

｢ふふ、名前はなんて言うの？｣

｢………あまがさ。｣

苗字だけ…。
それでも大きな一歩だと思う。
救急箱を片手に、靴を脱ぎ終えた彼女の手を引いて立ち上がらせる。

｢なんてよんだらいいかなぁ…みんなにはなんて呼ばれてる？｣

｢…………A。｣

｢！｣

無理だと思いながらも遠回しに名前を探ったのだが、なんとフルネームを知ることが出来た。

｢Aちゃんって言うんだ。可愛いね。
僕もAちゃんって呼んでもいい？｣

そうお伺いを立てると、素直にこくんと頷いてくれた。
妹が出来たような気分だ。