激推ししてます、太宰さん！3 (ページ40)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:138,507 hit

太宰さんの噛み跡。ページ40

彼は私の首の包帯をしゅるりと取り払った。

『…太宰さん。』

太｢はあ。知ってはいたけど実際見ると腹立つ。｣

『え？』

中也さんに噛まれた辺りを撫でられる。太宰さんの目を見ると、目には闇を映している。と同時に、少し悲しそう。

太｢これは私が一番につけたかった…。｣

何も言えない。じっと太宰さんの顔を見つめる。

太｢うん、そうだ。上書きしよう。｣

『へ？』

彼の整った顔が近付く。緊張して目を閉じてしまう。頭を後ろから支えられ、逃げられない。少し首を傾けられ、噛み付かれた。そう、中也さんと同じ所に同じように。

『いっ…た！？』

慌てて引き離そうと、彼の背中に手を回して服を掴んで引っ張る。

『い、痛いですよ、太宰さん。』

くいくいと引っ張るが、私の抵抗に合わせて更に力が強くなっている気がする。
抵抗するな、と言われているような気さえする。少しずつ力を抜くと、噛む力も優しくなった。口が離れ、じっと噛み跡を見ているのを感じる。じわりと暖かいものが首を伝うのを感じ、人間の歯は恐ろしいと思う。
再度口をつけ、噛み跡をぺろぺろと舐め始めた。時折、ちゅっと彼の柔らかい唇が中り、鋭い痛みを感じる。
そして満足したのか、顔をあげた。

太｢ふふ、素敵だ。｣

『…性格ねじ曲がってますね…』

太｢そんな私は嫌いかい？｣

薄く口を開け、にやり、と効果音がつきそうな笑いを見せる彼。

『嫌いじゃ、ないです。』

太｢嫌いじゃない、じゃなくて？｣

『…好き、です。太宰さん。私、太宰さんの事、好きで、推しだけど、ガチ恋勢なんです。』

太｢ふふ、Aちゃんもねじ曲がってるねえ。…曲がったもの同士、お似合いかもね。｣

頬に手を添えられ、太宰さんの端整な顔が正面から近付く。え、どうしう。こういう場合どうしたら…
オロオロしていると、彼はくすくすと笑いだした。

太｢緊張が伝わってくるよ、ふふ、本当に面白い。｣

笑われてしまった、と恥ずかしくなり熱い顔を隠すように俯く。笑顔を見て少し緊張が解けたのは確かで、それに気付いたのか、彼は私の顔を覗き込んで掬うように唇を付けた。

『んっ………………ふはっ…苦しいです！長いです！』

太｢ええ…Aちゃん息止めてたの…？接吻した事ないの？｣

『し、た、事は…あります、けど……』

太｢それはそれでやだなあ…いや、なんか逆にいい…？？｣

『何言ってるのです？』

太宰さんの心情は読めません。