刺客と太宰さん。 ページ50
中「…もしかして新しいもの好きか?」
『え?あ、スマートフォンですか?そうですね…ちょうど前の携帯電話か壊れてしまった時期だったので。…中也さんもじゃ無いですか。』
私がスマートフォンを差し出すと、黒い手袋をしている手がそれを優しく受け取る。二つの端末をいじっている。
中「俺は仕事上必要なんだよ。」
『お仕事は何をなさってるんです?』
ちらりとこちらを見られ、目が合う。「まあちょっとした企業の幹部だよ」と目を逸らしながら言われる。
『幹部ってすごいですね!』
中「まあそんなに良いもんでもねえよ。ほら。」
スマートフォンを返され、画面を覗く。そこには「中原中也」の文字。
『んふふ。ありがとうございます。』
元々友達も少なく、アドレス帳には探偵社の面々しかいなかったため、嬉しい。
中「…またな。いつでも連絡してくれ。」
『はい、ありがとうございました。』
手を振って別れて歩く。いや、走る。
まずいまずいまずい。国木田さんに怒られる。探偵社鍵閉められちゃったらもっと最悪…そうなったら仕事が出来ないし自室に持ち帰ることすら出来ない。
とりあえず電話しよう、と走っていた足を止め、歩きに変える。つまり歩きスマホ。…だめ、絶対。
スマートフォンを耳にあて、ぷるるるという電子音を聞く。
と、後ろから思い切り抱き付かれる。
驚きのあまり声も出ない。振り返ろうとするが顎を掴まれ動かせない。電子音が止まり、「相川か!今どこにいる!」と国木田さんの怒鳴り声が聞こえる。
『く、国木田さ…』
口を押さえられる。え、やっぱり太宰さんとの距離が近すぎたから周りの女性からの刺客……それなら諦めよう。私は殺されて当然だ…せめて痛く無い方法でお願いします。と力を抜く。
国「相川?どうした?」
こちらから電話したのに…国木田さんごめん。
手からも力を抜き、スマートフォンが落とそうとする。落ちる音で気づいてくれたら、なんていう期待も込めて。そんなことを考えていたのだが、落ちる前に取られる。
「もしもし?国木田くぅん、今からAちゃんと戻るから待ってて!私鍵持ってないから!」
…え?
188人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 30ページ 敦を「僕のせいで を は不要かなと思います (2021年4月11日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
一沙 - 夢主、重症と見たり (2020年4月9日 14時) (レス) id: c108e162c7 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 星来さん» ありがとうございます!更新はできるだけ頑張ろうと思っています、一緒にキュンキュンしましょう〜! (2020年3月25日 16時) (レス) id: 6e196d0d59 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 今最高にハマってます…文スト作品の中でここまでキュンキュンしたの初めてですわぁぁぁ更新心から応援してお待ちしてます!! (2020年3月25日 10時) (レス) id: 5ba0477dc2 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - そるてぃーらいちさん» ありがとうございます!妄想にお付き合いいただき感謝です(*’ω’*) (2020年3月23日 19時) (レス) id: 6e196d0d59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めぐ | 作成日時:2020年3月13日 1時