謎の因果関係 ページ17
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こちらの躊躇いなど察知するつもりもない様子のガキは、どんどんと話を広げていき、それに比例して声のボリュームも無意識に上がっていた。生憎辺りには誰も見えないけれど、見えないだけであって、どこで監視されているかなど分かったものではない。
そんな状況下にあるのだから、少しの間だけ抜け出して……なんてそんな都合の良いこと、成功するはずがないだろう。こちらだって幾ら金欠だとは言え、後先考えずにどんな仕事もOKするバカではないわけで。
「連れてってやりてーのは山々なんだが、ガキの依頼と命、天秤に掛けるまでもねーんだよ。黙って世界地図でも眺めとけバカタレ」
「世界地図の海に触れたって、温かさも冷たさも感じられやしません!」
「知らねーよ、冷蔵庫にでも入れて冷やせば良いだろ」
「そしたら大陸も冷たくなってしまうではありませんか!それがきっかけで冷戦が激化したら、万事屋さんは責任を取れるのですか?」
「世界地図冷やして冷戦が激化するんならチンすりゃ良い話じゃねーか。良かったな、これでテメーも世界のヒーローになれるってわけだ、おめっとさん」
ああ言えばこう言うを繰り返していると、頬を膨らませたガキは「分かりました」と肩を落とした。あからさまなその態度に多少の同情はしつつも「ま、大人になりゃ好きな時に好きなとこも行けんだろ」と、宥めるように頭に手を乗せてやれば。……途端にその手を掴まれ、手際よくグルリと腕ごと捻り回す。そして、不敵な笑みを顔面に召喚した。
「テメ、何すんだ……ッ!」
「お願いです。好きなだけお金を払って差し上げますから、お仕事を受けてください」
「オイオイ、お嬢様が一般市民脅しちゃっても良いの?」
顔を歪めたままの俺の問いに対して「脅し?」なんて小動物みたいに首を傾げて惚けるそいつの目には、可愛らしさなんて微塵も残されておらず、そこに見え隠れしているのは獲物を捕らえようと必死の、獰猛な獣みたいな野心のみ。
「はて、何のことでしょう?私はお仕事を引き受けてほしいと言っているだけですよ」
「だーかーらァ何回言わせんだよ、受けねーっつってんの。そんなバレたら一発で首が飛びそうな危ねー仕事、誰が……グェッ……!」
周りに誰もいないのを良いことに、俺の喉元にぴとりと掌を重ねたかと思えば、見た目とは釣り合わない握力で指に力を込め「受けてくれますか?」と、笑ったのだった。
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堕天使(プロフ) - 瑠々さん» 返信遅れました瑠々さーーん!いつもありがとうございますほんとにすきです。そう言って頂けて嬉しい限りですが全然、私なんてまだまだ全然です。これからも精進していきたいですよろしくお願いします!! (2019年5月25日 22時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
瑠々 - 面白かったです。とても。どう頑張っても、堕天使さんの文章には追いつけませんね。 (2019年5月18日 6時) (レス) id: ff21270137 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 柚木さん» 柚木さん!!コメントありがとうございます!!もう、ほんとに嬉しい限りで嬉しいがすぎて令和早々死にかけておりますが、柚木さんのために生きて更新頑張ります!!!!(;;)こちらこそ平成は素敵なものになりました、ありがたいです、私もずっと愛しております!! (2019年5月8日 13時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
柚木(プロフ) - 堕天使さあああん!!!本当に大好きです!!なんでこんなに面白い作品を作ってくれるんですかァァ!!平成ではありがとうございました!!令和も負担がかからない位で活動を頑張ってください!!大好きです!!愛してます!! (2019年4月30日 22時) (レス) id: fe2805c04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2019年4月11日 20時