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「な、何笑ってんだよ」
「いや、バカみたいだなって」
私も、貴方も。
心を縛り付ける縄が解かれることは、永遠に訪れないとどこかで決め付けている自分が居たのだと思う。幾度となく傷付けられた筈なのに、鞭を持つ彼を縛り付けていたのはただの私で、本当は私は自由で。
成長したら自分のおかげ。失敗したら彼のせい。
都合良く解釈させてくれるモノとして、互いを互いに思い合っていた。少なくとも、きっと私はそうなのだ。
ほら、今だって。私は彼のせいにしようとしている。
「まあ、そりゃ大半がそうですけど」
「……は?」
「今日でやめます、そういうの」
「……」
「ありがとうございました!!私に沢山の、初めてを経験させてくれて」
この成長は、彼のおかげ。
否定する気はさらさらない。気付かないフリをしていた私の性格が、悪かったんだ。なんて酷いヤツ。
波打つ視界はきっと何かの幻想であると、脳を巧みに操る。いつになく小刻みに脈打つ左の胸ら辺は、右手で押さえて止めようとした。
ほんのちょっとした散歩を終わらせようと、踵を返す。けれど、また腕を引かれて阻止された。不思議と振り切る気力が削がれているけれど、首を横に小さく揺らして前を向く。
「A、俺の話を……」
「もう、眠いんで」
「またの機会に」とかほざこうとした口を噤んでおき、誤魔化すように笑ってみた。一向に離してはくれない銀さんの表情をチラリと確かめてみれば、平常に荒れを少しだけ含んだいつもの顔でしかない。
──なんて、狡い。
「A、俺は」
「知りませんし聞きたくもないです」
「俺はお前を心の底から」
「やめてください黙ってください」
「愛して……」
その後に発せられた言葉が、過去形なのか現在進行形なのかは、聞かずに身体を動かした。こんなことをしていたら、もう夜が明けてしまう。折角の、誕生日終わりの夜明けだ。愛を浄化した形で、清々しく迎えたい。
……そんなこんなで、朝が来て、私は布団の中に居た。
長い夢から醒めた感覚に、多少なりとも清らかな気分にはなっていなかったものの、寝巻きじゃない為、あれが現実であることに間違いはないのだとため息。
目を擦りながら、ポケットの中に左手を突っ込む。
すると、嫌味なくらいにキラキラ輝くネックレスの入った小さな箱があった。いつの間にこんなものがワープしたのだろうか。
「……言葉じゃないと、分かんないよ」
ポツリと、蒸発した。
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なゆなゆ(プロフ) - リクエストです。もうすぐ誕生日なので辰馬で作って欲しいです! (2018年7月27日 12時) (レス) id: 299a5e5ef0 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» 草。 (2018年7月14日 9時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - おとさん» 泣いた (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - シャープ♯さん» いえいえこちらこそリクエストありがとうございました!またいつでもお待ちしているので、気軽にどうぞ!!そして、お誕生日おめでとうございます(いつか知らない)幸せな毎日を遅れることを祈っております! (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» そしてすき。大好き。愛してる。 (2018年7月13日 20時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2018年6月20日 16時