（２） ページ30
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不思議な出会いから、およそ一週間が経ったある日。自然とあの場へと赴いた身体の奥底で、何を求めているのかを多少疑問に感じつつ、あの厨二病患者を目で追ってみる。
僅かな林を抜けて、小さな鳥居を潜れば。
呑気にシャボン玉を作り、空中に舞い上がるそれを見つめる女が居た。喜びという感情は無かったもの、依然として好奇心は抱いたままである。
「あら、また来たの」
やけに大人びた口調に、やはり違和感が目立った。
予告も無しにパチンと弾けたシャボン玉に合わせて、長い睫毛を揺らして瞬きをした女の顔には、生気が宿っていない。無表情という表情すら、感じ取れないとも言える。
小汚い着物に描かれた名前の分からない花は、輝きを失っていた。満開な筈なのに、そこから華やかさは得られないのだ。今にも花弁が散ってしまいそうな、儚さはあるけれど。
今日は、蝉の鳴き声が耳に入らなかった。烏が残酷さを訴えかけるように嘆く夕暮れ時で、沈みそうな太陽が最後に何かを伝えたがっている。
「一つ、聞いて良いかしら」
隣に腰掛けることもなく、木の幹に背中を預ける訳でもなく、両足に力を込めてしっかりと仁王立ちをしている俺に一言告げた女に、黙って頷くと。
「貴方は生まれた日を、信じる？」
その問いに、瞬時に「はい」か「いいえ」の返答は出せなかった。生まれて一度も、考えた記憶が無かったからである。「誕生日のことか？」と質問を質問で返せば、思考を巡らすように視線を逸らし「そうとも言うかもしれない」なんて曖昧に言った。
「信じるも何も、考えたことも無ェな」
「ふうん」
これまた不思議そうに口を尖らせて、息を吹いてシャボン玉を生み出す。望みと反してすぐに消えたそれに不満そうにすると「自分がいつ生まれたかなんて、誰にも分からないじゃない」と付け足した。
「生まれた瞬間、自我が宿るとも限らないでしょう？」
「でも少なからず、親は記憶してんだろ」
「……そんなもの、当てにならないわ」
何か不味いことを言ったのではなかろうか、と危機感が身体を巡る。その後に、口からため息として吐き出されたそれは、空気中に紛れて見えなくなった。
「記憶だって、脳が勝手に作り上げている妄想」
「それは歪み過ぎだろ」
「そうかしら？限りなく薄い可能性なだけで、無いとも言い切れない筈よ」
そして「無いものを証明するのは難しい」と笑った。
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なゆなゆ(プロフ) - リクエストです。もうすぐ誕生日なので辰馬で作って欲しいです！ (2018年7月27日 12時) (
レス) id: 299a5e5ef0 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» 草。 (2018年7月14日 9時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - おとさん» 泣いた (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - シャープ♯さん» いえいえこちらこそリクエストありがとうございました！またいつでもお待ちしているので、気軽にどうぞ！！そして、お誕生日おめでとうございます(いつか知らない)幸せな毎日を遅れることを祈っております！ (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» そしてすき。大好き。愛してる。 (2018年7月13日 20時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：堕天使
| 作成日時：2018年6月20日 16時
