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どんなに学生に優しい値段なのだとしても、それは常人の胃袋か又はそれ以下の胃袋を満たすという基準を元にした場合優しい値段なので、コイツらのような食べ盛り男子高校生を連れて行くなら駄菓子屋が一番良いと思う。あくまで個人的見解だが。
「ねえやっぱじゃんけんにしない?」
「始まった」
「何よ土方、そんな毎度恒例みたいに」
「毎度恒例だろ。いっつもお前から提案してお前から負けて、それが始まってるじゃねェか」
「今日こそはじゃんけんの神様が降りてくれる気がするの!!」
「じゃんけんの神様以前に勝負の神様に見捨てられてんだろーが」
「けっ、お前は良いよなあ沖田。好かれまくってて」
「前世で賄賂渡しまくったんで」
「不正を許す神様なんて神様じゃない」
今日も残り四時間と少しになったくらい。未だに親には何の連絡も入れていないが、最早怖いものなど無かった。常習犯だからというのも僅かにあるがそこではなく、私が共にするのは残念なことにコイツらくらいしか居ないと認知され尽くしているからである。
……とは言いつつ、叱られるのは視野に入れておかなくてはならない。当然だ。でもどうせ怒られるなら、メーターを七十から八十にしても変わらないだろう精神が根強く居座っていた。
「今月のお小遣いもうあと五百円なの」
「バッティングセンターなんか行くから悪ィ」
「君が先程の勝負で負けてくれれば良かっただろ」
「単純にド下手なテメェにどうやって負けろってんでィ。どれだけ頑張っても流石に無理があらァ」
「そういやAちゃん昔、少年野球クラブ出禁になったよね」
「言ってやるな山崎。それァこいつの紛れもねェ黒歴史だ、忘れさせてやれ」
「土方、それフォローになってないんだけど」
下手過ぎる癖に自信満々に手を挙げて試合に出るからコーチから出禁を命じられた話など、今はどうでも良いんだ。今は残り五百円のお小遣いでは、どう足掻いたとしても今夜の晩餐には足りない事件を何とかせねばならないのだ。
定期的に掘り起こされる私の黒歴史を、コイツらは笑う。そして広めて楽しむ。こんなやり口、許されて良いのだろうか。
透明色を取り戻すパフェグラスを下げに来た店員は、逃げられないように中々に柄の悪そうな沖田と山崎の間に挟まれている私を見て、苦笑。どういう関係だと見られたのか、物凄く興味がある。そして恐らく頭に思い浮かんだであろう憶測を、全力で否定して同情を買いたい。
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なゆなゆ(プロフ) - リクエストです。もうすぐ誕生日なので辰馬で作って欲しいです! (2018年7月27日 12時) (レス) id: 299a5e5ef0 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» 草。 (2018年7月14日 9時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - おとさん» 泣いた (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - シャープ♯さん» いえいえこちらこそリクエストありがとうございました!またいつでもお待ちしているので、気軽にどうぞ!!そして、お誕生日おめでとうございます(いつか知らない)幸せな毎日を遅れることを祈っております! (2018年7月14日 7時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 堕天使さん» そしてすき。大好き。愛してる。 (2018年7月13日 20時) (レス) id: 6e4da90966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2018年6月20日 16時