《 短編集 》.。

ヒーロー 《 H.I ((渡辺さあたん様リク ページ12

ジリジリと照りつける太陽。
額から汗が垂れてくるから、せっかくのメイクが台無しだ。




「やっぱり夏はアイスだねぇ」




帰り道の途中にあるコンビニで寄り道して買ったバニラアイスを無くならないようにちまちま舐める。
今日は久々に1人の帰り道。

幼馴染みで彼氏の岩本照は、委員会があるから一緒に帰れないらしい。




「別に、課題しながらでも待つし。帰れって言わなくてもよくない？」




照には待ってるって言ったのに、遅くなるかもしれないから帰れって言われた。
なに、あいつ。浮気でもしてんの？むかつく。今度照の目の前でチョコ食べてやろ。

なんて考えてまたアイスを舐めた。





『おねーサン、もしかして1人？俺たちとあそぼーよ』




「え？」




最後の一口を食べようとするとかけられた声。
横を見ると知らない男の人に挟まれていた。




「いや、あの、もう家帰ってるんで‥」




めんどくさ。私が可愛いからってナンパしないでよ。
なんて心の中でふざけながら足早にその場を去ろうとした。




『いいじゃんいいじゃん。せっかくだし、遊ぼ』




そう言って腕を掴まれた拍子に一口だけ残したアイスが棒と共にコンクリートの地面に落ちた。

あーあ、せっかく買ったアイスが。最後の一口を楽しみにしてたのに。

汚く染まった金色の髪。おしゃれと勘違いしているのか変に生やした髭。指には私の好みじゃないゴツゴツした指輪。

全部が不愉快すぎる。
大声でも出したら逃げるだろうか。
ナンパに慣れてしまった自分を少しだけ情けなく思いながらも、大声をあげようと口を開いた。

2→←ご挨拶。

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