分かったフリ (ページ20)

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「彩乃、、俺、」

「、、、」

「ごめん」

「、、っ、」

拓弥の鼻声で再生された思いがけない言葉で
さらに涙が溢れ出た

大きくて潤んだ瞳が私を捕らえたまま話は続く

「なかなか帰ってこれなくて

返信もそっけなくて

まともに話もできてなかったし」

黙って聞く

「飯も家で全然食わないし

洗濯物とかの礼もできてなかったし」

ううん、違う

「俺もガキだからさ、

久し振りに会えても身体ばっか求めて」

全然違う

「寂しい思いばっかさせて

何もしてやれなくて

まともな付き合いもできなくてごめん」

何も分かってない

「これからは、、」

「さっきから黙って聞いてればさ、ほんっと格好付けてばっか」

「、、は？」

「いつまで良い格好しいな訳？」

「別にそんなつもりじゃ」

「家帰ってこれないのだって、外食が多くなっちゃうのだって、仕事忙しいもんね分かってるよそのくらい

そんなことすら耐えられないような女じゃないって分かってるよね
だから一緒にいてくれるんだよね」

拓弥の肩がゆっくりと上下する

「拓弥は寂しさに耐えられない人をそのまま放っておくなんてしない

そもそもそんな人選べないじゃん」

「、、、分かったフリしないでよ」

鼻の奥を刺すつんとした痛みを食いしばり

右手で控えめに光を反射させている指輪を
左手で包んだ