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小窓を覗かなくても
扉の向こうに誰がいるのかくらい分かる


今にも途切れてしまいそうな激しい息遣いが板1枚を挟んで聞こえる


共鳴して苦しくなってきた








大丈夫、怖くない
会いたくてたまらない人が戻ってきてくれたんだよ








会いたい感情にじゃなくて
痛む心臓に嘘をついてドアノブに手をかけた


今までと違う嘘
もう大好きな気持ちに嘘はつかない


ちょっと怖いのなんて
震える手なんて
そんなの全部嘘だ









何もかも振り払うようにドアを開けた








祐基が立っている









顔が見れなくてうつむいていても
視界に入る傷だらけの手は革ジャンの裾を強く握っていて

それが何かを我慢しているように見えた







祐基も自分と一緒なんだ


今までずっと2人とも我慢してた


話さなきゃ、伝えなきゃいけない


思わず祐基の手を握った






硬く握り締められていた拳は一瞬で緩んで
感触を確かめるように私の手を握り返してきた






落ちた2人の涙が手の甲で混ざる









「、、ごめん」









やめてそんなこと言わないで謝るのは私の方なの

違うんだって横に首を振ることしかできない









「うん、分かってる俺は、、俺はあやに最低なことした
、、許されなくても、謝りたくて、、、戻ってきた」








違う、違うんだってば
伝えたいことはそうじゃない


涙まじりに一生懸命話す祐基の声を聞いていられる訳もなくて


かといって話を制する言葉も見つからなくて


ただうつむいて泣くことしかできない









「、、本当にごめん、俺もう帰るから、、
今日はゆっくり、、いや、寝れる時にたくさん寝てね」









手が解かれた







いつもだったら頭でも撫でてくれる流れだけど
そんなことできる状況でもない









祐基が帰っちゃう








だめ、まだなんにも伝えられてない








「、、、じゃっ」








やだやだやだ、行かないで









「、、、、やだよ」


聞こえないほど小さく背中に呟いて


ありったけの思いと力で後ろから抱きしめた

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ネオンガール(プロフ) - だしの素さん» わかりみ (2018年12月17日 16時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
だしの素(プロフ) - ネオンガールさん» いつのまにか感動物語になっておる (2018年12月16日 21時) (レス) id: 7df933fade (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - だしの素さん» 噛まれたい()直線に見えるけど実は少しずつ曲がっていく村田…泣く… (2018年12月14日 17時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)
だしの素(プロフ) - ネオンガールさん» こじらせてる村田書きたかったのよ、、真っ直ぐすぎて曲がっちゃうの愛おしい、、 (2018年12月14日 12時) (レス) id: 7df933fade (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - だしの素さん» 吠えてくれたら鼻血モノよ、笑 (2018年12月12日 20時) (レス) id: 18c4f82065 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だしの素 | 作成日時:2018年10月15日 23時

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