妹じゃなくて (ページ42)

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手に与えられた温もりは背中から全身に伝わっていった

身体中を締め付けて離さない熱が私をどこにも行かせてくれない

その強引な熱は今の私が1番欲しいもので

1番感じたいもので

溶かされた寂しさの氷と一緒に膝から崩れた

床に座り込んでも離れない熱

いつかと同じように頬で
自分の温度と違う温度のそれを感じる

懐かしいくすぐったさに涙を拭われるけど
またすぐに新しい筋ができる

「あや、」

「、、、ん？」

「あやが好きだからなんだ全部

確かに自分に嘘ついて隠してる本音もあった

けどね、好きだからなんだよ

あやが大好きだから

すっごい大切だから

だから無理なんてしてない」

深く息を吸うのに
私もつられて長い呼吸をした

「心配かけてごめん

勘違いもさせちゃってごめん

寂しい思いもさせたよね

こんな俺でごめん

気付けなくてごめんね

それなのにちゃんと言ってくれてありがとう

戻ってきてくれてありがとう

こんな俺のそばにいてくれてありがとう」

苦しくなる沢山の「ごめん」は

1つ少ない「ありがとう」に敵わなくて

あたたかい気持ちが涙を押し出す

「、、、これから変わるから

まだ時間かかっちゃうかも知れないけど
待っててくれる？」

「、、うん、待つ
、、、、私も変わるから
一緒に、、一緒に強くなろう」

「うん、けどたまには弱くてもいいからね」

「分かった」

向かい合うように座り直して
お互いの泣き顔を見て笑った

こうやって2人で泣き笑いするの何回目かな

いつしてもいいもんだね
俺はこの時間が大好きだよ

どっちも顔ぐちゃぐちゃだけど
泣いた後の笑顔は1番きらきらしてて

世界中の誰よりも愛おしいあやの笑顔を見つめていられる幸せを噛みしめる

重ねた唇はちょっとしょっぱくて
また2人で笑った