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「寒いー！まじでこの寒い中マットはありえん！」
「ねー、怪我しちゃう」
四限、朝からマット運動へ対して永遠に文句を垂れている彼女に同調する。正直私も、この気温でのマット運動は勘弁して欲しいと心底思う。なんなら体育館は廊下よりも寒く感じる。
実技テストの種目は、朝彼女から聞いたように倒立前転だと教科担任が言った(無論、女子たちからの大ブーイングが起きた)。その練習にと設けられた時間、指定ジャージの袖を思い切り引っ張ったままなかなかマットに足を踏み入れない女子たちの大半は、体育館をふたつに仕切るためのネットの向こう側、男子のバスケをだらだらと眺めていた。
「見てA、勝利が試合の主導権握ってる」
少し目を細めて彼女の目線の先を追うと、やけに顔の整った青年がキレの良いドライブでゴール下に回り、いとも簡単にボールをそれに通した。佐藤勝利だ。
刹那沸き上がる女子の歓声。観戦に夢中だった男子たちはビクッと肩を震わせ女子を見やった。
「勝利はめちゃくちゃドライなのに顔が良くて運動も勉強も出来ちゃうから困る」、なんて誰かが言ったのを聞き逃さなかった横の彼女がピクリと眉を上げたその瞬間、ピピーッと耳に響く笛の音。
「こら！そっち見てないでちゃんと練習する！」
やばっ、先生の一声で女子たちはマットに向き直り、出来もしない倒立前転の練習を始める。列に並ぼうと横の彼女に促したが反応はなく、未だネットの向こう側をじっと見つめていた。
真っ直ぐなその瞳は、さっきまで騒いでいた女子たちの軽い輝きとは違い、鉛のように重たくて真っ黒だった。恋する女の目である。彼女はきっと、真剣に佐藤勝利のことが好きなのだ。
恋とは恐ろしいものだと、他人事のように思った。
「Aー倒立前転できる？私全然無理だったんだけど！」
「私も出来ない！倒立すら出来ないかも」
「それな？しかも倒立したまま3秒止まらなきゃないんだって」
「無理無理！」
彼女に声をかけるのをやめて意識がこちらに戻るのを待っていると、1度挑戦してまた列に並んできたクラスメイトが話しかけてきたのでそのままその子と列についた。しばらくして彼女もなにかに気づいたようにくるっと向きを変え私の後ろに並んだ。どうしよー、できないー！なんて困って笑う彼女の目から、先程の闇は消えていた。
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絢花(プロフ) - この小説すごく好きです。�兇眛匹澆燭い任后�パスワードどうすればいいですか？？ (3月21日 18時) (
レス) id: 02c899b024 (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - えりさん» お返事遅れてしまいすみません。2度も嬉しいコメントありがとうございます！日が空いていますがもしまだ読んでくださっていればこれからもよろしくお願い致します！ (2020年5月17日 4時) (レス) id: b2f90188df (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - ぴっぴさん» お返事遅れてしまってすみません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます！なかなか更新できずにいますが、もしまだ読んでくださっていればこれからもよろしくお願い致します。 (2020年5月17日 4時) (レス) id: b2f90188df (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - 花恋さん» お返事遅れてしまってすみません。きしひら書いててとても楽しいです！（笑）日が空いていますがもしまだ読んでくださっていればこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年5月17日 4時) (レス) id: b2f90188df (このIDを非表示/違反報告)
うゆ(プロフ) - 椎名さん» お返事遅くなってしまいすみません。長い間更新できていないのですが、必ず完結させようと思っています、、！もしまだ覚えてくださっていましたら、これからもよろしくお願いいたします！ (2020年4月11日 21時) (レス) id: b2f90188df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うゆ | 作成日時：2019年1月13日 3時
