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｢本当に私は大丈夫です。周りの方を巻き込むのが1番嫌なことなんです。それに執事の皆さんも毎日代わる代わる大学行ってアパートに泊まる方がお互い大変ですからね。｣
｢Aさん…、｣
｢誰が泊まったの？2人ぐらい泊まった？｣
｢1人だけですよ｣
｢誰？｣
｢スンチョルさん｣
｢へぇスンチョルが｣
カートを押して部屋を出ていく間際に話とはだいぶ関係の無いことを質問してくるジョンハンさん。何故か含みを持つ言い方に疑問が湧いた。問題……はあったちゃあったけど個人の問題だしスンチョルが、なんて言ってるけど仲が悪いのだろうか。
｢そう、それで今からAさんのアパートの荷物、必要最低限だけ持ってきてもらいたいんです。｣
必要最低限だから下着や洋服、貴重品ぐらいだろう。解約するのとかと聞けばそれは大丈夫だと言われたのでそこは大人しく甘えさせてもらおうと思った。大学に通えるようになったら勿論あのアパートから通いたい。
1度部屋に送ってもらい、昨日着ていた上着を着てバッグに唯一入っていたリップを塗る。あの日は買い物をするだけだったから自分の荷物は極端に少なかった。
そういえばあのデパートで買った材料はどこに行ったんだろうか。無いのであればウォヌさんとボノニに作る約束は随分先になってしまった。もし、キッチンが借りれるタイミングがあるなら作ってあげたいけれどでもそれだったらシェフが作った方が美味しい気がする。
……でもだからこそせめて土俵に立てるように勉強しないといけない。食べさせたい思いは変わらないから、だったら尚更美味しいのを作りたい。
｢A〜｣
コンコンと軽くノックする音が聞こえた。私の名前を呼ぶ声はジョンハンさんで直ぐに開けると笑顔のジョンハンさんが立っている。
｢準備終わった？｣
｢はい。｣
｢じゃあ行こう、ウジが待ってる。｣
二人で廊下を歩きながら、ウジが待ってるって、と聞けばどうやら車の運転をしてくれるのは例のウジさんらしい。へぇなんて言っているとジョンハンさんが私に謝ってから眠そうに欠伸をする。そして突然ウジさんの話を話し出した。
｢ウジ、Aのこと凄く心配してたんだ。｣
｢心配？｣
｢インカム入った時、1番行動が速かったのはウジだったよ。見つかった時も良かったって隣で言っていた声があまりにも気が抜けてて。初めて見た姿だったなぁ｣
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作成日時：2024年3月10日 16時
