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食器がジョンハンさんによって片付けられている様子を眺めていると、スングァンさんが何か言いたそうに私のことを見ていた。私は素直に聞くと口篭りながらも喋りだす。
「Aさん…言わなければいけないことがあるんです。」
思っていたよりも神妙な顔つきになんだか胸がバクバクした。考えられる最悪なことって何んだろうかと思っていると、スングァンさんは口を開く。
「Aさんにとってショックなことかもしれないけれどいつか取らなければいけない処置だったことには変わりは無い、とご主人様からは言われています。」
「取らなければいけない処置?……本格的に執事と同棲?いや大学を休学とか……」
「……まぁ、そんな感じというか。」
「……エッ!?同棲っ!??」
「あっ、違います!」
「ほぼ同じようなものだけどね〜」
ジョンハンさんが皿を片付けながら伸びた声で話す。意味ありげなことを言う彼に私は緊張しながらもスングァンさんを見つめる。スングァンさんも私の目をしっかり見つめ静かな声で話し出した。
「………大学は一旦休学です。お嬢様に対して必ず目が届く範囲で執事が活動することへ一段と徹底することや不特定多数が出入りする大学は危険だという判断になりました。基本このデュセット邸で活動してもらうのが主になると思います。
……でも絶対にAさんのこと、大学に行けるようになる状況にするから安心して欲しいです。ごめんなさい、こんな状況にさせてしまって。」
自分のことなのに酷く沈んだ声を出すので慌てて大丈夫だということを伝えた。
正直、そうなるかもしれないという考えはあったのだ。
また同じようなことを繰り返すのは絶対にやりたくないこと。多くの人がいる大学で大切な友達や関係ない人を巻き込む訳には行かなかった。大学には行きたいけれどいつかのびのび過ごせる日まで気長に待つ事が1番いいだろう。今は何よりも全ての命が大切だから。
それに今まで通り生活していたら執事も執事で大変だっただろう。大学を行き来したり私の家に泊まったりした1週間はお互い忙しかったように思えた。なにより私の心臓が持たないし。
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作成日時:2024年3月10日 16時