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「……」
「……」
「照れてます?」
「……まぁ」
「…僕も」
颯爽と去っていったボノニ。廊下にはあんまり喋ったことの無いスングァンさんと2人きりで立ち尽くしていた。何故か隣のスングァンさんも照れているが私も同様に照れている。今も心臓が煩いくらいにバクバク言っている中、スングァンさんに小さく名前を呼ばれて彼を見た。
「僕はボノニと同い年で、僕とボノニ、一個下のディノはあまりAさんのこと知らないんです。多分記憶がないって言うか幼かったし接点もなかったから。だからボノニがどうしてAさんにむ、夢中なのかなって考えてたんですけど……一目惚れだったなんて」
「……ど、どうしようスングァンさん。全然わかんない、心がぐちゃぐちゃだし、エッこれ告白だった?」
「……僕も分かんないです!なっ内緒にします!今の事は!」
お互いテンパりながら、急激な緊張で2人とも頭が上手く回っていなかった。是非!なんてよく分からない返事をして取り敢えず移動しましょうかとスングァンさんに言われたので長い廊下を2人で歩く。一旦落ち着こうなんて早口で言いながら。
二人で話しこんで数分、結果は告白なのかはよく分からないまま。そして突然真剣な顔をし始めたスングァンさんに一体何を言うのかと思いながら見つめる。
「Aさん、」
「…どうしました?」
「……なにかあったら言ってください。ボノニの話とか、その、くだらない事でも相談でも何でも。だってもうボノニのこと聞いちゃったわけだし、悩みましょう。一緒に。それでAさんにとっての最善策を考えるんです。」
真剣な顔をして私を見るスングァンさん。過去の接点があるとかないとかを抜きにスングァンさん自身から頼って欲しいと言ってくれたのが嬉しかった。まだ全然話したことの無い彼だが本人の持つ優しさが伝わってくる。
「相談、します。ボノニの話もくだらない話も。私もスングァンさんの話も聞きたいから何かあったら言ってくださいね。」
「任せてください、聞くのも話すのも好きですから」
案内された部屋に入ると後でドギョムさんが来ると言われスングァンさんとはここでお別れだった。人好きのする笑顔でじゃあと言われたので一言帰す。
私は高校で大して仲の良い後輩ができたことは無かった。大学もとても仲のいいと呼べる後輩は1人だけで 。なんだか久しぶりに年下といい距離感で話せたことが単純に嬉しかった。
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作成日時:2024年3月10日 16時