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クォン・スニョンは悩んでいた。
食堂で第2水曜日限定、あの大好物のカツ丼を早食いしないほどには。
隣に座る友人、イ・ジフンは大量にご飯の盛られた定食と追加で学校購買で買ったパンを交互に食べながら、スニョンの月に1回はあるであろう“珍しく早食いをしない日”をいつも通りに捌いていく。
「何かあったのか」
「ウンまあ〜〜〜なんというか…ウン……」
「そ。話したいなら話せば」
傍から見たら相変わらず素っ気ないような態度のジフンだがこれでも一応めちゃくちゃ心配している、らしい。話を盛るスニョンが言うにはなのであまり信用は出来ない。
スニョンは目の前のカツ丼を見つめる。
ウジに言った方がいいと思う?と心の中で問いかけてみる。どちらかと言えば言った方がいいと思う、いや言わなくていい。そんな言葉が聞こえてながらも悩んでいる最中。
後輩のイ・チャンとブ・スングァンが今日も小突き合いをしながら目の前に座った。あ、先輩。と、どちらかが言い、挨拶をされたのを境にスニョンのある悩みはポンッとどこかへと消えていく。
なぜならスングァンの昼ご飯のキムチチゲがあまりにも美味しそうだったからだ。早々ちょっとだけ食べたいという思考に埋めつくされた。そしてアーンと大口を開いたらスングァンが呆れながらもこんもり盛られた一口をあげる。
スニョンは途端、幸せのあまり悩みなんてどうでも良くなった。
「ホシヒョン、なんの曲でダンスするか決めました?」
チャンがスニョンのあだ名を言った。ダンス?…俺に聞いたのか?ホシヒョン…いや俺の事か。なんの曲。ダンス?なんのダンスだ。
ジフンはアホズラをしたスニョンを見て、もぐもぐと食べていた口を止めた。
まさかコイツ。忘れてたなんて言わないよな。何となく嫌な考えが当たりそうで少しだけ背中に冷や汗をかいたが、それをかき消すようにまた口をもぐもぐと動かす。
「だからホシヒョン、ダンスだって」
不機嫌そうに問いかけるスングァンはあからさまに眉間に皺を寄せた。多分コイツ絶対忘れてるなと言わんばかりに皺が寄っている。
スニョンは焦った。後輩の怒り顔は怖いとは思わないがこうなると如何せん面倒臭い事態になるのを知っているからだ。やらかした時、スングァンはマジで地獄の果までねちっこく追いかけてくる。
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作成日時:2024年3月10日 16時