枯れ草 ページ24
昇っていた日が沈み、また暗闇が辺りを包んだ
あの後ナイチンゲールの部屋にもう一度行ってみたが、不在だった
今は灯りがともる庭を歩きながら今後のことについて考えている
何も触れられないので食事もできない
空腹感はないからいいが…
結局、今日一日誰にも気づかれなかった
皆が探してくれていたのは嬉しかったが、僕のことを見つけた人はいなかった
唯一少し目が合ったかもと思ったのもモウロの猪くらいで
もしこのまま戻れなかったら…
不安が募る中、庭に生えた枯れ草を眺めてふと思った
死んで 誰にも気づかれず 朽ちて 土に還る
「…それも悪くないのかもね」
このまま僕がいなくなっても特に何かが変わることなくて、それが当たり前になっていくだろう
きっと僕が消えたこともそのうち皆忘れて
誰も…
そう思うと何故か少し楽になったが、いろんなことがあって疲れたせいか少し自暴自棄になっている自分に笑ってしまう
そんなことを考えていると急に目の前が暗くなった
後ろを見ると先程までついていた灯りが消え、多少の月明かりと僕を残して辺りが暗闇に包まれてゆく
心音が早くなる胸を抑えながら深呼吸をする
だめだ、落ち着け…
今日見た夢が頭をよぎる
冷静になれ…
恐怖で震えそうな手に力を込めつつどこかに灯りはないかと辺りを見回す
何でもいい
どこか灯りは…
「…あ」
目に留まったのはサバイバー棟の2階にある一室の窓だった
周りの部屋は暗くなっていたが、そこだけ灯りがつき、明るくなっている
「あの部屋は確か…」
ハッとして僕はその部屋に向かって駆け出していった
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【湖の宝石】(プロフ) - この作品本当に大好きです！ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2021年6月6日 2時) (
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作者名：ナメクジの番犬 | 作成日時：2020年12月26日 22時
