消えた磁力 (ページ20)

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痛みページ20

「…ごちそうさまでした」

モヤモヤしたまま朝食を食べ終えて食堂を後にする

「よ、ノートン」

自室に戻るまで廊下を歩いていたらナワーブと会い、また食堂まで来た道を戻っている間もずっとさっきの出来事が頭から離れなかった

確かに握ったはず

持った感覚だってあった

だが滑り落ちる感覚はなかった

この壮園ではたまにバグが発生するが、そのうちの一つだったのだろうか

朝から続く身体中の痛みといいさっきのことといい

嫌な予感がする

そんなことを考えながらナワーブと他愛のない話をする

太陽のような笑顔で話す彼は今日も元気そうだ

…一緒にいたいな…

でもこのことを話して心配はさせたくない

不安な気持ちや最近一緒にいれない寂しさが合わさって思い切って誘ってみようと思い、食堂に入ろうとするナワーブを止めた

「…あのさ、」

「ん？」

不思議そうに見つめる彼に勇気を持って伝えたが、断られてしまった

少しショックだったがナワーブも試合が続いてるから休みたいという気持ちもわかる

だから了承した

…だけど正直、嫌だった

食堂の扉に手をかけた彼を見るとどこか置いていかれる気がして

やっぱり一緒にいたいという気持ちを堪え、彼に軽くキスをして僕は部屋に戻っていった

ーーー

「はあ…はあッ…！」

現在、最後の試合をしているがずっと息が荒くなってしまう

おかしい

試合を重ねるごとに体の痛みが増していく

ハンターから受けた傷は回復するのに

体を棘で締め付けられる時に感じる焼けるような痛みがずっと僕を襲ってくる

「っ、」

つい痛みに耐えかね、その場で膝をつく

「ノートン！」

名前を呼ばれて振り向くとウィリアムがこちらに駆け寄ってくる

「お前大丈夫か？！」

「ああ、大丈夫…」

残りの暗号機を見るとあと一つとなっている

「今トレイシーが最後の一つ解読してくれてる！俺イライ助け行ってくるからゲート行ってろ！」

僕を立ち上がらせたウィリアムはそのままイライとハンターのいるチェアに向かった

「…ごめん、」

迷惑をかけてしまったと思いつつ歯を食いしばりながら近くのゲートに走っていった