呪縛。【刀剣乱舞】【成り代わり】 (ページ3)

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◇ ページ3

分厚い雲が空を覆う。何時もの風景。
庭の草木は枯れ、池からは異臭がする。

邪気で溢れた空気を吸い込む。

時計だけが朝だと告げる。

どんよりとした、薄暗い朝。

朝餉は存在しない。

僕達に食事は必要ない。
だから、無くていい、というのが審神者の言い分だ。

今日はまた夜に呼ばれている。

二度寝するか？

布団をかぶり直したものの、寝付ける気分でもないので、何となしに縁側を歩く。

「主殿！やめてください！」

大広間から一期の声がする。

急いで大広間に向かう。

「なんだ、お前も俺に逆らうのか？！」

間に合え。

「ですが、主殿！」

間に合え！

「もういい！お前も折れてしまえ！」

間に合え！！

ーバキン

刀の、折れる音がした。

『な、何をしていたんだい？』

審神者の足元には、折れた刀が。
4振りの短刀に、堀川君に、一期の分。

…また、助けられなかった。

「丁度いい。お前、全員つれて出陣してこい。」

でも、と言いかけた口を閉じる。
気が立っている審神者に反論したら、次は誰が折れてしまうかわからない。

『………そう、刀は戦に出てこそだよね。…場所は？』
「厚樫山だ。小狐丸か岩融あたりを拾ってこい。無理なら資源だ。刀装は勿論なしだ。資源を節約しろ。」
『…わかった。』

審神者は僕に見向きもせず出て行った。

◇◇◇

本丸の門の前。
時間遡行装置を見つめる。

部隊長である僕はこの装置を起動させ、みんなを率いなければならない。

でも、今行けばみんな折れてしまうだろう。

『……』

ザッザッザッ

後ろから足音がした。

『光忠くん……。』
「青江くん、他のみんなは…」
『……折られたよ。
僕は何もできなかった。ごめんね。』

光忠くんはそっと目を伏せた。

『さて、全員揃ったかな？』

なるべく明るく振舞う。

『じゃあ、出陣しようか。』

手元の装置から光が溢れて、私たちを包み込んだ。