◇ ページ17
騒ついている食堂。
燭台切から昼餉を受け取り、自分の席を探す。
通りすがりに、一期から預けていたものを返してもらった。
漸く慣れてきた食事。
銘々好きなテーブルで食べているが、大体は刀派か、元の主が同じ者どうしでかたまっている。
どこで食べようかと辺りを見渡す。
「青江〜」
僕を呼ぶ、間延びした声が聞こえた。
そちらを向くと、三条派の刀剣たちが集まっていた。
……君たち、他の刀剣とは格とか色々が違うんだから、そんなにかたまっていると、威圧感が凄いよ。
この本丸にはまだ薙刀が一振りも居ないらしく、岩融はまだいない。
だが、それ以外の三条派が揃っているのだ。
普通の人間なら、さぞかし近寄り難いだろう。
『三条の皆さんじゃないか。僕がご一緒しても？』
多少戯けた口調で言った。
「なに、呼んだのは石切丸だからな。」
そう言ってほけほけ笑うのは三日月。
この本丸では、太刀の中で5番目に来たらしい。
穏やかな雰囲気を纏っているが、その一方で何を考えているのかよく分からない。
まぁ、僕もよく何を考えているのかわからないと言われるけども。
「あおえ、さっきはたのしかったです！またあそんでくださいね！
こんどはまけませんよ！」
快活に笑う今剣。
その紅い瞳は、無邪気なようで、きっと何かを抱えてる。
「待っていてください。今席を詰めましょう。」
三条派の中では数少ない常識人、小狐丸。
マイペースの権化のような三条派では、まだ常識的な方だとういうだけだが、話は分かる奴だ。
ありがとう、と返して席に座る。
「誰かと一緒食べるようではなかったから誘ったけれど、大丈夫だったかい？」
『あぁ、ありがとう、誘ってくれて。』
今日の昼餉も中々に豪勢だ。
『いただきます。』
◇◇◇
食べながら、様々な事を話した。
燭台切の料理が美味しい事。今日の夕餉に何を食べたいか。
自らの元主の事。戦の事。
『そういえば、明日の演練に僕も参加する事になってね。』
みんな揃って驚いた顔をする。
『後で隊の皆に挨拶しようかと思って。』
暫しの沈黙。
「まさか、むりやりじゃないですよね？！」
「ぬしさまが無理強いをしたならば、この小狐めが、斬っても？」
堰を切ったように話し出す2振り。
「やれやれ、血の気が多いなぁ。」
三日月が笑うが、目が笑ってないように見える。
「全く、物騒だね。落ち着きなよ。」
呆れたように笑っている石切丸。
『ふははっ、一番人を殺しそうな顔だよ、石切丸。
大丈夫、ちゃんと同意の上での契りだよ。』
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作者名：#藍猫# | 作成日時：2019年1月2日 21時
